*

Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

消しゴムはんこ作家のバードウォッチング

消しゴムはんこ作家 宮西理絵

私は「ART&CRAFT KOTORI」という作家名で消しゴムはんこの製作販売を生業にしています。
消しゴムはんこ作家のバードウォッチング消しゴムはんことは、手描きのイラストを消しゴムに転写し、カッターで彫って作るスタンプです。
作家名「KOTORI(ことり)」の通り、幼少より鳥が好きで、バードウォッチングや飼鳥の飼育をしていました。
本格的に鳥見を始めた3年前からは、ますます野鳥観察にのめり込み、はんこにも野鳥モチーフを多く取り入れるようになりました。
父も趣味でバードカービングをしており、一昨年親子で鳥モチーフの作品を持ち寄り「鳥大好き親子展」を開催しました。
そんな中で、天売島在住で世界的に活躍されている写真家の寺沢孝毅氏と出会いました。
それをきっかけに、何度も天売島に野鳥観察のために訪問して、すっかり島の魅力に惹きつけられ、昨年ジャパンバードフェスで天売島応援団として天売島PRブースでの物販や、天売島の「海の宇宙館」で野鳥モチーフの消しゴムはんこを販売するようになり、野鳥グッズとしての販路を広げ、野鳥大好きはんこ作家のART&CRAFT KOTORIらしいスタイルが出来てきました。
そして「鳥見に行きたい」「仕事(はんこ作り)もしなきゃ生活出来ない」ならばどちらも融合してしまおう!と、来年3月から秋までの間、天売島に季節移住して、朝は野鳥観察と寺沢氏のケイマフリ繁殖地調査の手伝い、昼間は観光客に野鳥グッズの販売、夜は制作をして生活をしてみよう!と決めました。
天売島は、家を一歩出ればどこに珍鳥迷鳥が出るかもわからない探鳥地で、海に出ればそこは世界的に貴重な海鳥の繁殖地です。
来年は、聖なる鳥の島 天売島の魅力を私らしいやり方で発信していきたいと思います。
是非来年天売島にお越し下さい!
野鳥グッズと、沢山の野鳥の話題を用意して歓迎します!

宮西理絵さんのブログはこちら→「ART&CRAFT KOTORIの消しゴムはんこ」

支部報「カッコウ」2016年10月号より

アリゾナでのキャンプ取材

 

北海道新聞社写真部 富田茂樹

 

今冬、アメリカのアリゾナ州でプロ野球日本ハム球団が29年ぶりの海外キャンプを行いました。18日間の期間中、取材班の一員としてチームに同行し、写真撮影を担当しました。

キャンプ取材はスズメではなく、えたいの知れない極彩色の小鳥のさえずりが聞こえる早朝から始まります。クラブハウスに入る選手を待ち構え、準備運動から始まり打撃練習、投球練習、守備練習、紅白戦、個人練習、居残り練習・・・。宿舎へ戻る最後の選手を見届けると、空には一番星がきらり。なかなかハードな取材でしたが、ひそかな楽しみは「バードウオッチング」でした。

鳥好きであれば誰しもそうなのではないかと思いますが、海外へ行くと真っ先に目に入るのは野鳥です。見慣れた顔ではないカラスやハト、その名前の見当もつかないような鳥を眺めながら異国情緒を味わうことができます。が、しかし、アリゾナでのバードウオッチング中、室蘭市の地球岬を思い起こさせる瞬間がありました。

キャンプ中盤に行われた紅白戦を撮影中、上空からキィーキィーとどこかで聞いたことがある鳴き声が耳に入ってきました。ファインダーから目を外して空を見ると、3羽のハヤブサが捕らえた獲物を巡って空中戦を繰り広げるというなんとも豪勢な光景です。地球岬には何度か取材で通いましたが、こんな瞬間には出会えませんでした。心の中で「これはすごい」と絶叫しましたが、バッターボックスではバットを持った大谷選手が凛として構えています。大谷選手か、ハヤブサか・・・。上空にレンズを向けたい気持ちをぐっと抑えるしかありませんでした。

灼熱の太陽が照りつける昼下がり、スタジアムで集合写真を撮影中の時のことです。若い選手が「蜂だ」と叫び、逃げ回っていましたが、よく見ると虫ではなく鳥です。アメリカ駐在の他紙カメラマンに聞くと「ハミングバード(ハチドリ)だよ。家の庭によく来るんだよね」とのこと。慌ててカメラを構えましたが、あまりにも素早く、行き先の想像がつかないホバリング飛行を繰り返し、なかなかファインダーに収まりませんでした。きらびやかな羽の色はカワセミのようで、空飛ぶ宝石と呼ばれるのにも納得です。キャンプ期間中、ハチドリには幾度となく出会うことができました。

現地では幸運のシンボルとされるハチドリ。「蜂」におびえていた若い選手ですが、昨シーズンを上回るペースの活躍を見せています。

キャンプ地アリゾナの樹上で羽を休めるハチドリ

キャンプ地アリゾナの樹上で羽を休めるハチドリ

支部報「カッコウ」2016年8・9月号より

鳥好き市民の活動こそ自然保護の原点

 

NPO法人タンチョウ保護研究グループ  百瀬邦和

10P鳥参写真

私の鳥との本格的な関わりは千葉で先輩たちの活動に参加するようになってからです。行徳野鳥保護区でアルバイトやボランティアをしたり、全国を巡って鳥の標識調査をしたりしました。トキの捕獲は結果的に苦い経験になりました。その後は山階鳥類研究所の標本室で山のような標本を相手にする傍ら、「生きた鳥と接する」ことを口実にタンチョウやアホウドリに関わってきました。標本室ではリョコウバトやカロライナインコなどの絶滅種も身近でした。鳥好きな私が「今できることは何だろうか」という思いから、釧路に移ってタンチョウの保護研究に特化している今のグループで活動し始めて12年になります。代表をしている法人名が目指している「研究」まで手が届いていないのが残念ですが。

 

北海道のタンチョウは人馴れが進み、おそらくそれが影響して今や2,000羽に迫る程にまで数が増えました。しかし、かつて日本や朝鮮半島でトキやコウノトリが人間に近すぎたことで絶滅したことを思えば、数が増えただけで安心できる訳はありません。北海道のタンチョウが抱えている問題の背景は、同種だけでなく似た環境にある他種の存続にも深く関わっていると考えています。私たちが今できることは何だろうか!そう考えて、私たちは深刻な状況にある中国での、学生による子供たちを対象とした環境教育に力を入れています。また、釧路で市民参加によるタンチョウの調査も行っています。鳥を通して自然のことを知り、鳥のいる良好な自然環境が好きな人が一人でも多くなってもらわなければ、鳥や自然はどうでも良いという人ばかりになってしまいますから。

 

鳥好き人間の私は、どうしても鳥を通して自然を感じ、自然を愛おしく思う傾向があります。そう考えると鳥のファンを増やすことは市民向けの立派な環境教育でしょう。札幌支部の日頃の活動の一部は正にその点でしょうが、それに加えて一つの提案があります。私は札幌支部がかつて行なったカッコウキャンペーンが一時代をリードしたと思っていますが、今度は「鳥の立場から見た公園ランキング(評価)キャンペーン」というのはいかがでしょう。さらに膨らませて、都市公園に見る各都市の野鳥度ランキングという展開もあるでしょう。日頃は鳥好きとまでは言えない人たちに鳥や木々や草花を好ましく感じてもらうこと、これからはそれがとても大切になっていくはずです。同好グループの活動こそが、鳥類の保護、自然環境保護の土台を支えています。

 

昨年、釧路で開かれたEAAFP会議でヘラシギの絶滅は時間の問題であるという衝撃的な発表がありました。ヘラシギに続く鳥が、もしかしたら今はごく普通の鳥かもしれないのです。

 

気が付いたらあの鳥は・・・ということにはしたくありません。

支部報「カッコウ」2016年7月号より

抱卵をする昆虫―マルハナバチ

さっぽろ自然調査館 丹羽真一
エゾコマルハナバチ巣内

エゾコマルハナバチ巣内

北国の野山が一年でもっとも生き物たちで賑わう季節になりました。この時期、夏鳥が大忙しで子育てする傍らでは、花から花へと飛び回り、蜜や花粉を集めているマルハナバチの姿を観察できます。

マルハナは北方系の昆虫で、北海道では身近な生き物の一つです。海岸から高山、森林から草原、市街地まで分布しています。バードウォッチングのときに足元を飛ぶ姿を見ることも多いでしょう。

意外にも、マルハナには鳥との共通点がいろいろあります。第一に「飛ぶ」生き物であることです。敏捷性と力強さを兼ね備えたその飛翔力は、昆虫の中では群を抜いています。第二に、あまり知られていないことですが、高い体温を持っていることです。恒温性はありませんが、飛翔時の体温は35-40℃になり、低温環境でも活発に活動できます。第三に、これがもっとも重要な点ですが、巣を作ることです。「巣」を作る昆虫はたくさんいますが、子育てをするのは社会性昆虫と呼ばれる一握りの昆虫だけです。たくさんの幼虫を育てるため、1日に何度も巣と餌場を往復して蜜や花粉を集め、時には巣から数キロも離れた場所まで出かけることもあります。私はエゾコマルハナバチの巣を自宅で飼って観察したことがあり、働きバチが巣箱から次々と出入りする姿に感銘を受けましたが、小鳥よりもはるかに小さな脳で広い空間をどうやって把握できているのか本当に不思議でした。第四に、マルハナも抱卵をします。マルハナが営巣を始める5~6月は朝晩はまだ寒く、女王バチは卵や幼虫が入った初期巣と呼ばれる容器を抱きかかえるようにして暖め、発育を促します(このときも高い体温が役立つ)。ほかにも、高い学習能力や娘(新女王)によるヘルパー行動、托卵などの共通点を挙げられます。

鳥との関係は、直接的には「食う(鳥)-食われる(マルハナ)」関係です。モズはマルハナのはやにえを作ることが知られます。ただし、マルハナもいざというときには毒針で反撃するので、どの程度鳥に食べられているかは分かりません。一方で、マルハナが授粉して結実した液果を小鳥が食べるという形で、間接的なつながりを持っているといえます。

マルハナはおとなしいハチです。野鳥観察などで野山に出かけたときに、ついでにちょっとマルハナにも注意を払ってもらえれば幸いです。

支部報「カッコウ」2016年 6月号より

水の旅

黒松内町ブナセンター 環境教育指導員 立田栞那

私はこの1年、ブナセンターの職員として黒松内小学校の総合学習「ブナ里学習」に関わってきました。その中で「環境」というものを再認識する機会があったので、今回はそのことについて書いてみようと思います。

水の旅 イラスト

ブナ里学習では、3年生は北限のブナ林を構成する樹木、4年生は本流にダムのない朱太川の生き物、5年生は町の特産品であるもち米作り、6年生は100万年前に海の底にあった黒松内の大地の成り立ちや町の歴史というテーマをもとに、生き物同士のつながり、森・川・海・大地のつながりについて学びます。私は最初、米作りは他との関係性がないテーマではないかと思っていたのですが、森・川・海のつながりを学ぶための大切なテーマだったのです。

5年生の子どもたちは、実際に田んぼで米作りを体験します。そこで子どもたちに、田んぼに不可欠な水はどこから来て、どこへ行くのか聞くと、ほとんどの子が森→川→田→川→海→雲→雨→森と答えます。ですが、森から川へどのようにして水が流れていくのかを知っている子はほとんどいません。

その流れを確かめるために森へ行きます。子どもたちは腐葉土を観察することで、森の土が果たしている雨水を受け止めるスポンジとしての役割を知ります。それから沢を登り、森の土からしみ出す川への「最初の一滴」を見ることで、森から川への水の流れを実感します。

森から川、川から田に流れてきた水は、米を食べることで自分の体に入ります。今度は子どもたちに、自分の体を通った水はその後どこへ行くのか想像してもらいます。例えば、米→自分→下水処理場→朱太川→川魚→カワセミ→糞→ブナ林→アリ→クマゲラ→糞→ブナ林→朱太川→田→米と、巡り巡ってまた自分の食べる米に戻ってくる水の旅も想像できます。子どもたちはこうして、森や川などの環境と自分たちの体が、水を介してつながっていることに気付くのです。

ブナ里学習に関わるまで、「環境教育とは何か」と聞かれたら、「森や川など環境同士のつながりや、人と自然の関わりを学ぶこと」だと答えていました。今は、「全ての環境がつながっていること、そして自分自身もその環境の一部であるということに、気付くためのきっかけを作ること」だと答えます。「環境」は人ごとではなく、自分のことだと気付けたら誰だって、環境を大切にしよう、良くしていこうとあたり前に思えるはずです。

皆さんが普段飲んでいる水は、どのような旅をしてきたのか想像してみてください。

支部報「カッコウ」2016年 5月号より

栗山町の自然体験活動

NPO法人雨煙別学校 環境教育リーダー 諸橋 淳

皆さん、夕張郡栗山町と聞いて場所や思いつくものが、すぐにイメージ出来るでしょうか。地理的にはさっぽろテレビ塔から東へ40km程の農業を主産業とした町です。最近では、日本ハムファイターズの栗山監督と繋がりのある町と思い浮かべる人も多いかと思います。蝶のオオムラサキを思い浮かべた方は、自然環境活動に関心の高い人かもしれませね。

私の所属するNPO法人雨煙別学校も栗山町を拠点に自然体験活動を行っている法人です。法人名に学校とあることから、何やら教育に関わる仕事と想像がつくと思います。施設は昭和11年に建てられた築80年の旧栗山町立雨煙別小学校で、道内に現存する最古の2階建木造校舎です。2010年にコカ・コーラ教育環境財団の活動施設と、栗山町の自然体験学習の拠点を目指しNPOを設立、宿泊体験施設「雨煙別小学校 コカ・コーラ環境ハウス」として再生し、6年が経過しました。活動内容は、栗山の自然や風土、農林業を題材に、子供から大人を対象に実体験を通して、人と自然の共生を考えられる人づくりをめざしています。特に、栗山町の小・中学校では「ふるさと教育」と言う町の政策で、授業に様々な自然体験プログラムが取り入れられ、全小中学校の児童、生徒が年平均3回以上もの体験学習を経験するまでになっています。
ボートあそびこうした活動ができるのも栗山町民と町の地道な活動が背景にあります。今から32年前の1985年(昭和60年)に理科の副読本作りの中で、同町にて国内東北限となる国蝶オオムラサキの発見が契機になり、その後「人と自然が共生できるまちづくり」が進められ、同時に子供達への自然体験や環境教育活動も活発に行われました。2000年には農業放棄地となった谷地を子供達の自然体験フィールドとして再生する「ハサンベツ里山20年計画」がスタートするなど、積極的に展開してきました。結果、町内外からも体験型の環境教育の要望や問い合わせも多くなり、これまでの活動のノウハウや継承する人材の育成を踏まえ、自然体験のプログラム化と受け皿としての法人化に繋がりました。今では60以上もの体験プログラムやパッケージプランがある他、年間20回以上の体験行事も実施しています。興味のある方は是非ホームページhttp://uenbetsu.jpを覗いてください。最後に自然体験フィールドは、利用すればするほど傷つきます。その傷を回復するための行動が必ず必要です。身近な自然といつまでも共生する活動を続けたいと思っています。

特定非営利活動法人 雨煙別学校

支部報「カッコウ」2016年4月号より

若手で活動しています

今堀 魁人

私は普段、大学生活の中で友人と野鳥を探しに行ったり、SNSを通して全国の若手のバーダーの方々と交流したりしています。

二年前に札幌に来ましたが、それまではオホーツクに住んでいました。オホーツクでは、いつもコムケ湖で野鳥の観察・撮影をしていました。小学校高学年時にネイチャーガイド資格を取得し、ガイドもしていましたが、自分と同じ世代や年少のバーダーには一度も会うことがありませんでした。

札幌には、大学生や小学生のバーダーがいて、他の地域よりも若手が多いにもかかわらず、互いに交流できる機会がないので、若手同士がつながることができるネットワークや場があればと感じていました。

そこで私が先頭に立ち、北海道の若手バーダー同士のネットワークの構築と、それぞれが持っている野鳥や自然に対しての知識や情報を共有しようと考え、互いにサポートしスキルを高め合う活動を行っていくために、北海道ヤングバーダーグループ『ちかぷ』を昨年10月に発足させました。

この団体は、野鳥の会東京支部のYoung探鳥会を参考にさせていただき、基本的な参加年齢を10代から40代までとしました。参加料無料で(場所により100円程度の会場使用料を徴収する場合あり)、年に6回以上の野鳥勉強会を行っていきます。

現在は、若手と交流したいという40代以上の方の参加も大歓迎でお待ちしております。

勉強会では、毎回、テーマを設けて発表者に話してもらい、みんなでわいわい話しながら、知識と情報を共有しています。二月の勉強会では、「鳥達の恋の季節について」というテーマで私が話をさせてもらいました。

現在はまだ参加者が少なく、5~15名程の参加者しかいませんが、今後は少しずつ増えていくことを願い、日々精進しています。

この活動が、微力ながら北海道の若手バーダーの世界が賑わう礎となればと思っています。

北海道ヤングバーダーグループ『ちかぷ』の情報は
Twitter(@chikapuhokkaido)、Facebook、
ホームページ(http://chikapuhokkaido.jimdo.com/
からご覧下さい。

支部報「カッコウ」2016年3月号より

円山のゼフィルス

日本野鳥の会札幌支部  問田高宏(本文・イラスト)

札幌周辺では、林が残っていれば、緑色のゼフィルスの仲間が、住宅のそばでもみられるかもしれません。緑色のゼフィルスの仲間、という分類で森林の中を探すと、天気が良ければ緑色のゼフィルスには、割合と会うことができます。ゼフィルス、とは、チョウ目シジミチョウ科のミドリシジミ族の古い呼び名です。語源はギリシャ神話の西風の神ゼピュロスだそうです。緑の妖精ともいわれています。

ゼフィルスの仲間によく似ている種類としては、カラスシジミという、緑色のミドリシジミ類より一回り小さいシジミチョウがいます。ミドリシジミ亜科カラスシジミ族のシジミチョウで、ゼフィルスではないです。地味で控えめな色合いのチョウチョです。

メスアカミドリシジミ

メスアカミドリシジミ

緑色のゼフィルスにメスアカミドリシジミという緑色の、ミドリシジミの仲間がいます。やや大型の金緑色の金属光沢のあるミドリシジミです。

金属光沢、とは銀紙のような、キンキラの色のことです。


平成二十四年の夏に、円山公園定例探鳥会担当のUさんから電話を頂き、「クルミの周りにいるミドリシジミを教えてくれ」と言っていただき、先入観で、しばらく、「クルミの周りにいるのはオナガシジミです」と繰り返しました。オナガシジミとは、金属光沢のない、ゼフィルスの仲間です。Uさんより、現場で撮っていただいた写真画像(左写真)を見せて頂いて、クルミの周りにいたゼフィルスがオナガシジミではなく、メスアカミドリシジミであることを知りました。

メスアカミドリシジミ円山公園

メスアカミドリシジミ円山公園


年によって微妙に時期が変わりますが、円山公園では例年6月後半から7月にかけて、山裾の何か所かで出現し、その美しい姿と華麗な飛翔を見ることが出来ます。ここ何年かは7月の定例探鳥会でも見られているようで、探鳥会参加者の感想文にも登場しました。

支部報「カッコウ」2016年 1,2月号より

エゾモモンガと日没

厚別区在住 近藤直人

モモンガ

野鳥観察をしていたら野鳥以外にも時々思いがけない出会いというものがあります。

とある3月の昼過ぎ、キツツキを撮りにいつものように近所の森に入りました。雪山を歩いていると目線の少し上の方から、カサカサっと何かが木を登る音が聞こえました。コゲラかな?と目をやると見慣れない生き物がいました。それはなんとエゾモモンガ(以後、モモンガ)でした。警戒したのかモモンガは木のウロに入りこちらを見つめていました。どうやらモモンガがいた木は巣のようです。お目々がクリクリしたそのかわいらしい姿に僕は一目惚れし、この出会いをきっかけにモモンガの観察を始めてみようと思いました。

数日後、初めてモモンガを見たあの巣で出てくるのを待つことにしました。しかしよく巣を見ると生活感が感じられず、結局日没後50分ぐらいまで粘ってみてもモモンガは出てきませんでした。

モモンガが活動を始める時間は日没後30分だということなので、この巣にはモモンガがいないと割り切って諦めることにしました。そこで新たに巣を探してみることにしました。木の下に糞があるか、その木に小さなウロやキツツキが開けた穴があるのか。キツツキの多いこの森には穴の空いた木が多く、その中でモモンガの生活感が出ている木を5箇所見つけることができました。同じ個体が使っているのか巣は数十メートルほどの感覚でありました。最も木の下に糞がたまっている巣に決め、後はモモンガから見つからない場所で待つだけです。

3月31日(日没.17:59)
日没前の17:30から待つことにしました。日没を迎え16分後の18:15、モモンガが巣から顔を出しました。予想外の早い時間にビックリしました。まだ、空は少し明るさが残っていたので観察がしやすかったです。暫く顔を出したり引っ込めたりし、巣から這い出し木を登り、滑空し森に姿を消しました。

今回予想外の時間に出てきたことに疑問を持ちました。もしかしたら今回がただ早かっただけかもしれません。そこで、日没から何分後にモモンガは活動を始めるのかを巣に通い調べることにしました。

そして数ヶ月後。少しづつ観察を続けた結果、日没後30分ではなく、だいたい14分前後を中心に巣から出てくることがわかりました。

まだ1個体しか調べていませんが、別個体での確認や別の時期はどうなのかなど、今後も少しづつ日没と活動時間の関係性を明らかにして行きたいです。

支部報「カッコウ」2015年12月号より

雁の「龍」に魅せられて

ウトナイ湖サンクチュアリ・レンジャー  小山留美

15119月下旬から12月上旬、また、3月上旬から4月中旬にかけて苫小牧市東部に位置するウトナイ湖には、オオハクチョウやコハクチョウ、ヒドリガモやオナガガモなど数種類のカモの他、マガンやヒシクイなどの雁(ガン)類が飛来します。
同湖を訪れる「雁」の数は、秋は多くて4千羽、春は10万羽を数えたことも。彼らが頭の上をV字の編隊を組んで飛んでいく時、にぎやかな声はもちろん、力強く風を切る羽ばたきの音が迫って聞こえ、横シマ模様のマガンのお腹や、つるりと灰白っぽいヒシクイのお腹がくっきりと見えることもあります。
たくさんの鳥が一気に飛ぶ景色は、多くの人の心を揺さぶるようです。たまたまセンターを訪れていた観光客、いつものように遊びに来ていた家族、違う鳥を写真に撮ろうと思っていた人も、皆思わず「わあ!」と声を上げます。
私が初めて雁に心奪われたのは、数年前の早春でした。
朝もやの中、湖の南岸(観察地点から見て対岸)側にキャワキャワと落ち着きなく、うごめく群れがあります。夜明けはもうすぐ。今日の行き先を打ち合わせてでもいるのか、ざわめきは大きくなる一方です。
ところが、それまで好き勝手に餌採や水浴びをしていた雁たちが、ふと、一斉に首をもたげ、ある一方を望みます。一瞬の沈黙。静けさが行き渡ると同時に、どっと羽音を立て、湖上に大群が持ち上がりました。その後、群れはうねるように空を駆け、ワ―という「音」にしか聞こえない声を上げながら、思い思いの方向に散っていきました。
ウトナイ湖で「龍」を見たと思いました。
レンジャーになる前のことです。昔から草木のあるところや動物が好きで、人生のほとんどを苫小牧で過ごしている地元民ですが、こんな場面が見られる場所があったのかと思いました。それから、彼らの飛び立ちが見たくて、春の雁カウント調査に何度かボランティア参加したりもしました。数える技術は高くありませんが、毎度その場面に立ち会えることがとても嬉しく、レンジャーになって3年目の今も、その気持ちに変わりはありません。
日々移り変わる湖や周辺の自然の様子を見られること、そして、何より心揺さぶる雁に出会えたこと。それが今、私がここで働いている原点なのだと思います。
当センターでは、雁類が再びやって来る来年の春、観察会や彼らをテーマにしたアート展などを開きます。雁をきっかけにセンターへ足をお運びいただければ幸いです。

写真説明:ねぐら立ちする雁の群れ(ウトナイ湖)