鳥インフルエンザ 〜根室での海鳥⼤量死〜
2025年春、根室の海岸は眼を疑うような異様な光景に包まれました。
3月初旬、私の勤務する春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンターに「港の岸壁に死んだカモメ類を見つけた」「目の前でウミネコがよろけて倒れた」「漁港に弱ったエトロフウミスズメがいる」といった情報が寄せられました。休日を利用し港を見て周ると、カモメ類の死体や衰弱個体が例年以上に見つかりました。これはおかしいと、様々な場面で連携をしている根室市歴史と自然の資料館の外山雅⼤学芸員とともに、手分けして港や海岸を見回りはじめたところ、日に日に状況は深刻化していきました。
3月26日、環境省から釧路や厚岸で回収されたウミスズメ、エトロフウミスズメ、オオセグロカモメの鳥インフルエンザ簡易陽性が発表され状況を決定づけました。それからというもの2か月以上、私たちはこの状況に翻弄されつつ、これ以上の感染拡⼤を少しでも抑えるべく巡回や回収に協力をしました。
結果、根室周辺の沿岸で、ケイマフリやウミガラスなどの絶滅危惧種をはじめ主に海鳥24種685個体の死体を確認し、その内7割を回収しました。なかでも海岸に漂着したエトロフウミスズメの死体はなんと300個体にも。検査に回せた個体のうち10種43羽で高病原性が確定しました。同時にラッコ、アザラシ類の死体や衰弱個体も見つかり、鳥インフルエンザの感染が確認されました。道内はタンチョウ、オジロワシ、オオワシ、シマフクロウなど希少鳥類の宝庫です。鳥インフルエンザが拡⼤すると彼らへの感染の危機が迫ります。カモメ類は住宅の屋根、漁港など人と接点の多い場所でも繁殖するため人の生活圏へのウィルス侵入の危機とも隣り合わせの状況です。アメリカでは乳牛への感染報告もあります。
このため早期発見と早期対策が不可欠で、皆さんのフィールドにおける観察は異変を察知するとても重要なカギになります。もし多数の野鳥が死んでいたり、異常な状況を見つけた場合は、お近くの振興局に通報をお願いします。また、私たちが鳥インフルエンザを広げないためにも財団のホームページ(QRコード)もぜひご確認ださい。
公益財団法人 野鳥の会





















