フライドチキンでダイナソーウォッチング
いくら鳥を愛するみなさんでも、きっと食べたことありますよね、フライドチキン。僕も、バードウォッチングはしませんが愛鳥家、いや愛鶏家です。
白いスーツのおじさんがトレードマークの「Kンタッキーフライドチキン」の肉は、手羽先や肋(あばら)など、いろんな部位があることはお気づきでしょう。生後40日の若鶏を、体の中心にあるキール(胸)と、左右に1つずつのウイング(手羽)、リブ(肋)、サイ(腰)、ドラム(脚)の5種類9ピースにカットして使用しています。
さあ食べよう、と1ピース取ったのが、ウイングだったあなた。ここで問題です。 “鳥の指は、何本でしょう?” みなさんにはもう、簡単ですよね。ダチョウなど例外もありますが、ほとんどの鳥は3本指です。きれいにウイングの肉を食べて、指先の骨が本当に3本あるのを確かめてみましょう。小さい骨なので、ガツガツと食べていると肉と一緒にガリっと噛み砕いてしまうから、気をつけて。
人間は5本指なのに、鳥はなぜ3本? それは、鳥の先祖が3本指だったから。じゃあ鳥の先祖って…? ご存じのとおり、恐竜です。今を遡ることおよそ1億5000万年前。映画で有名になったヴェロキラプトルなどを含むグループ、小型獣脚類恐竜から枝分かれしたアーケオプテリクス(始祖鳥)が、鳥類の始まりとされています。当時の獣脚類のほとんどは前脚が3本指だったため、チキン、いやニワトリも、その形質を受け継いでいます。
ウイング以外にも、ドラム(脚)の先端にある束になった3本の中足骨や、リブ(肋)に付いている左右が1つに癒合したV字形の叉骨(Kンタッキーでは左右に切り分けられてるが…)は、獣脚類の代表ティラノサウルスにも見られる、恐竜と鳥に共通する特徴です。もし大きな博物館で全身復元化石を見るチャンスがあったら、注目ポイントですよ。
いつも食べてるフライドチキンですが、その骨には、1億年を超える生命の歴史が刻まれています。バードウォッチングもいいですが、おなかが減ったら、フライドチキンで“ダイナソー(恐竜)ウォッチング”も楽しんでみてください。