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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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日々変化していく鳥たちの生息状況を見守り続ける

特定非営利活動法人バードリサーチ 高木憲太郎

参加型調査で調査方法や記録の仕方を確認する参加者。このようにみんなで集まって調査することもありますが、各自が自宅周辺でできる調査を多く展開しています。

鳥たちの生息状況の変化を肌で感じる機会というのは、どんな時でしょうか。関東だと、外来種のガビチョウが分布を広げて、いろんな場所で見られるようになりました。全国的には、キビタキやカワウなどが分布を広げていて、北海道でも1980年代以前は生息していないと言われていたカワウが各地で観察されるようになりました。今までいなかった鳥が見られるようになると、その変化を強く感じます。 一方で、減少している鳥はどうでしょうか?シマアオジのようにほぼ見られなくなるまで減ってきていたり、年々観察できる場所が減っていると、その変化は感じられます。ですが、個体数の減り始めや、分布縮小の初期にその変化に気づくのは簡単ではありません。 バードリサーチは、公益財団法人日本野鳥の会などと共に2016-2021年に全国鳥類繁殖分布調査を実施しました。このリレーエッセイを読んでいただいている方の中にも調査にご参加いただいた方がたくさんいらっしゃると思います。この調査は約20年ごとに実施されていますが、定期的なモニタリングによって各地のデータが蓄積されると、気づきにくい「減り始め」に気づくことができるようになります。 この全国調査で北海道で最も分布や個体数が多かった鳥はアオジでした。分布図を見ても、北海道では安泰に見えますが・・・、本州以南の分布域の南側では分布が縮小しています。道内でも、環境省によるモニタリングサイト1000陸生鳥類調査によると、苫小牧で個体数の減少が確認されています。また、北海道に広く分布しているアカハラも、本州以南では分布の縮小がみられています。この鳥は本州以南では高標高地に生息していますが、標高別に過去の調査と比較してみると、低地で見られなくなってきています。このまま温暖化が進んだとき、これらの鳥が北海道で減少し始める可能性は否定できないのです。 バードリサーチでは、減少の兆候をいち早く捉え、警鐘を鳴らすことができるよう、会員参加型で、各種の鳥たちのモニタリングを継続していきます。無料の会員区分がありますので、ぜひ、バードリサーチに入会して、調査に参加いただけたらうれしいです。
バードリサーチへの入会はこちら
https://www.bird-research.jp/1_nyukai/
日本の森の鳥の変化:アオジ.バードリサーチニュース 2023年12月: 1
日本の森の鳥の変化:アオジ
日本の森の鳥の変化:アカハラ.バードリサーチニュース 2023年9月: 1
日本の森の鳥の変化:アカハラ