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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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野幌森林公園のおすすめの季節は?

野幌森林公園 自然ふれあい交流館 普及啓発員 小川 由真

野幌森林公園 自然ふれあい交流館のスタッフとして10年が過ぎようとしています。初めは漠然と自然が好きというだけで、野鳥の鳴き声もアオバトがやっとわかる程度だった私も、今では野幌森林公園の魅力を自信をもって伝えられるまでになりました。先輩や野幌森林公園の大ベテランの方々から学んだことは勿論、毎日変わる景色について行くため図鑑片手に歩いたり、太ももまで沈む雪道を進んで体力の限界に挑戦したり、ヒグマと出会ったり(2019年6月~9月に、78年ぶりに園内で出没したヒグマです)等、経験を成長の糧、もしくは「ネタ」とするべく日々アンテナを張って過ごしています。

野幌森林公園は、江別市と札幌市、北広島市にまたがる2053haの平地林です。名称に公園と付きますが、巨木も散見する針広混交林に囲まれた遊歩道の様子は、森と言った方がイメージしやすいかと思います。周囲は住宅や畑なので空から見ると陸の孤島になっていますが、植物は約820種、野鳥は約150種、昆虫だけでも約1320種が今までに確認されています。決して数が多いから凄いと言いたいわけではありませんが、大都市近郊でこれだけの生き物を観察するチャンスがあることは、野幌森林公園が多くの人に親しまれている理由の一つだと思っています。

園内を歩くならどの季節がおすすめかと聞かれることがあります。春はフクジュソウが太陽を浴びて輝き始めるのを皮切りに、エゾエンゴサクやオオバナノエンレイソウ、ミズバショウの開花でパステルカラーに染まり、ウグイスやクロツグミ、アオジなど夏鳥が順繰り移動してきます。キビタキやセンダイムシクイがさえずる中、オスがメスへ鳴いてアピールするのは野鳥だけではないと言わんばかりにエゾハルゼミの合唱が始まり、初夏は一層にぎやかです。木の葉で園内が覆われオオウバユリが咲く夏、幼さが残る幼鳥の一生懸命飛ぶ姿が時折見られます。秋にはカツラやイタヤカエデが黄色く、ハウチワカエデやエゾヤマザクラが赤く色づけた葉が舞い、晩秋にはヒレンジャクやウソなど冬鳥がやってきて冬への移り変わりを感じます。そして冬、一見雪しかない園内でキタキツネやユキウサギの足跡、シジュウカラやエナガの混群を見て、生き物のたくましさや生きるための工夫を感じることができます。おすすめの季節は?への回答ですが、春夏秋冬、全ておすすめです。

冬の野幌森林公園

冬の野幌森林公園

自然ふれあい交流館では、園内の最新情報や旬な情報をお伝えするため、「森じょうほう」や「みずほ」といった情報誌を作成・配布したり、館内のホワイトボードに記入しています。また、動植物の目撃情報などを記録しているので、例年との比較や、野幌森林公園に来る際の目安にも役立ててもらえればと思っています。皆様からの情報も大いに募集中ですので、素敵な出会いがあれば是非自然ふれあい交流館までご連絡ください。

支部報「カッコウ」2024年 1・2月号より