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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

女子探鳥会のとりくみ

日本野鳥の会オホーツク支部幹事 川崎 里実

「女子会という集まりがあるんだから、女性だけの探鳥会があってもいいんじゃない?」という軽い思いつきで、女子探鳥会は始まりました。
参加者は女性限定。企画や広報、当日の案内(探鳥会リーダー)も、すべて女性が行います。

女子探鳥会はいざ始めてみると、いつもの(男性の)メンバーがいないのでちょっと寂しいような・・・気もしましたが、すぐに和気あいあいとした楽しい雰囲気で鳥見を楽しむことができました。女性だけのグループで1羽・1種類の鳥に出会うと、その場で時間をかけてじっくりと観察できるような印象があります。シジュウカラやマガモなどごく普通の鳥でも、なにげないしぐさを見ては「かわいい!」「何を考えているのかな?」などと想像します。たとえ鳥が出なくても、一緒に歩いているだけで会話が弾みます。なんと素晴らしいのでしょうか。おまけに時々パートナーの愚痴が飛び出したりして、ストレス発散にも効果あり?!

女子探鳥会

探鳥会後にはランチやお茶を楽しむ時間を作りました。昼食を食べながらおしゃべりを楽しみ、初対面の方や初めて参加された方も、ゆっくりと交流できるようにしています。
そしてイベントを企画・実施するにあたって、大切なのがPR。支部報と支部のHPのほか、北海道新聞(地方版)と網走・北見地方のローカル情報誌に広報していただきました。会員だけでなく非会員にも知ってもらえるように広く広報することをこころがけています。「女性ならどなたでも歓迎」の姿勢と話題性もあってか、時々地方紙の記者さんが同行され、記事にしていただくこともありました。ちなみに同行される記者さん・カメラマンさんも女性限定。「もし男性記者さんが来られる場合は女装してください」とお願いしていますが、まだ残念ながら(?)その実例はありません。

参加された皆さんからは「女性なら初歩的なことも優しく教えてくれそう」「申し込み不要なのが助かる」「みんなで食べるランチが楽しい」などのご感想をいただいています。女子探鳥会をきっかけに初めて探鳥会に参加された方もおり、他支部からも関心を寄せていただくなど、交流の幅が広がったと思います。女性幹事も参加者も、皆さんが「あー、楽しかった!」と言ってくださることがとても嬉しく、やりがいを感じます。

今後の課題としては、女性幹事は探鳥会の担当役(リーダー)となると荷が重いと考える方が多いため、なかなかリーダー役のなり手がいないことが挙げられますが、例えば手芸が得意な方に講師役をお願いしてワークショップ形式のイベントにするなど、女性ならではの楽しく無理のない企画ができたらと思っています。

支部報「カッコウ」2017年5月号より

バードウォッチング長靴誕生物語

日本野鳥の会普及室 瀬古智貫

 「バードショップに若い女性が来ているぞ」という声が聞こえてきたので、のぞいてみると・・・。確かに20代の女性が「バードウォッチング長靴」を選んでいます。(公財)日本野鳥の会の事務所に隣接しているバードショップのお客様の中心は、50~60代の男性。若い女性は、まさに珍鳥です。恐る恐る「何に使うのですか?」と聞くと、「野外フェスティバルです」「テント等荷物が多くて、小さくなる長靴はGOOD!!しかも軽いから長時間履いていても疲れないし、フィットしたつくりなので会場内を移動する時にダッシュできるし!」と、こちらが想定していない使い方を教えてくれました。その後、口コミで広がり、ガーデニングやゲリラ豪雨対策、普段使いと広がっていきました。

長靴誕生物語写真

 ところで皆さんは「バードウォッチング長靴」をご存知でしょうか?小さくして持ち運びのできる長靴で、ぬかるみや干潟等、バードウォッチングシーンで必要な時に取り出して使用することを目的とした商品です。昨年は、長年にわたり消費者に支持されている商品に贈られる「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞しました。
商品誕生のきっかけは、日本野鳥の会会員からのメールでした。この方が北海道にバードウォッチング旅行に行った際、長靴が必要な場面になってしまいました。最初は通常の長靴を購入しようとしたそうですが、旅行中のため大きくて嵩張る長靴を持って帰るのは大変。かといって、捨ててしまうのはもったいない。悩んでいると、田植え用長靴が目に入りました。田植え用長靴はゴムが薄いため、小さくまるまった状態で販売されていました。これなら使った後も小さくなるので、持って帰れる!と思い、その場で購入しました。さらに、実際に使ってみると、なかなかの使い心地。これを商品化したら面白いのではないか!と思い、帰宅後、すぐに日本野鳥の会と田植え用長靴の製造メーカーに、北海道での体験談を記したメールを送ってくれたのです。

 この「奇跡のメール」がきっかけとなり、日本野鳥の会とメーカーが出会い商品企画が進み、2004年4月にバードウォチング長靴が発売されました。
田植え用長靴を製造しているメーカーの方は、「長年田植え長靴を見ていて、小さくなることは当たり前だった。しかし、この機能が持ち運べるという発想には全く繋がらなかった。十年以上経った今でも驚きです。」と話しています。
商品企画というと、顧客ニーズ、マーケティング等、少しハードルの高い話に聞こえてしまうかもしれませんが、ヒントは意外と身近な場所にあるのかもしれません。商品や情報が溢れる今の時代、全く新しい物を作り出すのは難しいと思いますが、今ある商品の見方や使い方を変えると…。ほら、そこにも! あそこにも! あなたも、大ヒット商品の生みの親になれるかもしれませんね。

支部報「カッコウ」2017年4月号より

スズガモに魅せられて

日本野鳥の会東京 幹事 保護部担当  飯田 陳也

臨海・海浜公園

葛西臨海公園は、毎年三~六万羽のスズガモやカンムリカイツブリが千五百~三千羽が訪れる公園である。私はそこに沢山いる鳥がその環境を表現する鳥として大切だと思う。

オープンは平成元年(1989)だが、鳥類園は野鳥のための環境整備をして五年後に開園。日本野鳥の会東京はこれを機に探鳥会を定例化して毎月第四日曜日に実施してきた。

特筆したいのは、この公園の海側に広がる海浜公園だ。海に向かって弓型にまがって広がる土手は臨海公園の付属のように見られている方が多いが、沖の三枚洲を埋めずに残すため考えられた「海上公園」が初めて実現したところである。荒川と江戸川の大きな二つの河が運んだ泥や砂が葛西沖に大きな干潟を形成していた。

戦後の復興期、干潟を埋め工場を誘致して国を挙げて生産をあげる産業育成策は空気が汚れ、川や海水が汚染しスモッグの発生や背骨の曲がった魚が出現し、危機感を持った漁師や釣り人、野鳥の会などが、生活を奪うな、ハゼの釣れる海を埋めるな、野鳥の住処を埋めるなと声をあげた。九割ほど埋め立てが進んだ東京湾の埋め立てにブレーキがかかった。

そして当時の革新都政はこれらの声を尊重し「生き物豊かな公園」を目指して都と江戸川区による葛西沖再開発事業が進んだ。(「今よみがえる葛西沖」東京都建設局発行より)。

スズガモ

二〇二〇年のオリンピックが東京に決まった時、野鳥の会はこれらの経過を踏まえ、臨海公園の1/3の緑地を壊しての会場づくりは見過せない、都自身が造った生き物の聖地を自ら壊すのは自己矛盾であり、オリンピックの理念にも反すると主張し、十一回の交渉を経て要望通り会場が公園の外に移った。自然保護団体の要望がその通りに実現したまれな例である、このことがその後のオリンピック会場見直しの幾つかに流れを変えるきっかけとなった。

今この環境をラムサール条約に登録しようと一年ほど前に準備会を立ち上げ、基金の助成を受けて年末十二月十八日には法政大学で二百名を集めてのシンポジウムを成功させ
た。十八年のcop13での登録を目指している。

支部報「カッコウ」2017年 3月号より

波の上を飛ぶハマシギの群れ

札幌支部会員 高橋 良直

 私のハマシギの写真が日本野鳥の会の二〇一七年のカレンダーに採用されました。撮影したのは二〇一五年十月二十三日、撮影場所は通称新川河口から砂浜を北側に三キロメートルほど進んだあたりです(小樽市銭函五丁目)。五十羽ほどのハマシギが波打ち際で採餌しており、眺めていると何かの拍子に一斉に飛び上がりました。ハマシギなどは元の場所に舞い戻ることが多いので、カメラを取り出して撮影の準備をしました。すると一部がユーターンして私の方に向かって来たので夢中でシャッターを切った次第です。

ハマシギ

 帰宅後パソコンで見ると二十七羽のほとんどにピントが合っていて、我ながら驚きました。気持ち良さそうに飛ぶ個々のハマシギの生き生きとした表情までがとらえられています。意図したわけではないのですが、波打ち際から少し離れた小高い場所に立っていたため背景に白波が取り込まれ、それによってドラマチックでスケールの大きな写真になったと思います。 ところで、この写真の撮影場所からすぐそばの石狩湾新港の沖では大規模な洋上風力発電が計画されています。風力発電そのものを否定するわけではありませんが、海上に並ぶ二十六基もの巨大風車がシギ類などの渡り鳥にとって大きな脅威になることは容易に想像できるところです。何よりも自然の景観をぶち壊すこのような巨大風車建設が許されていいわけはないと思います。

 なお、私事ですが、野鳥の写真だけの個人的なホームページを作っていますので、興味のある方はご覧下さい。

 フォトアルバム「北国の鳥」
アドレス http://kitaguni.art.coocan.jp

支部報「カッコウ」2017年 1,2月号より

カワガラスと遊ぶ

鳥類標識調査員(釧路市) 梅本 正照

尾が短くて黒褐色のミソサザイの形を、ムクドリやアカハラサイズに大きくしたような「地味」なカワガラスは、同じ渓流に生息するヤマセミやカワセミに比べると、やはり人気は今ひとつと言うところでしょうか。でもこのトリの他のトリにない特異な行動を一つでも認識できたら、きっとまた渓流に足を運ぶことになるかも知れません。

私は、以前伐採による河川の汚濁とカワガラスの生息環境について調査する必要から、5年間で約300羽ほど捕獲した経験があります。この時の話をチョット…。

2016年12月鳥参上カワガラス

カワガラス(幼鳥)

カワガラスの飛翔は他のどんなトリとも違っていて、沢筋の流れに沿って直線飛行、しかも腹部が水面に接するほどの超低空で飛ぶ。こんな特徴がはっきりしているトリの捕獲は実に簡単で、猟具の「カスミ網」を流れに対して直角に架設すればあとは待つだけ。上流から飛来するか下流からか。必ずビッビッとかジェッジェッと鳴きながらやって来ます。そしてカワガラスは重い(アカハラより15グラム~20グラム)。この重いヤツが勢いよくドーンと突っ込んで来るので、カスミ網の大きく膨らんだ深いポケットに入って、捕り逃がすことはまずない。しかし、何時飛来するかわからぬまま、ただ網の傍らで待つだけでは非能率的で、第一退屈すぎます。そこで網をそのままにして、上流か下流に移動してカワガラスを探しますが、これもよく鳴いているのでわりと簡単に発見できます。背後にまわり込んで静かに近づくと、胴長の音や気配に驚き、すぐ飛び立って先へ2、30メートル飛んで止まる、また静かに近づく。これを繰り返し、架設している網に向って追い立てるわけですが、捕獲した300羽のうち70パーセントぐらいはこのようにして捕ったものです。ところが、あるところまで移動したとき突然逆に我が方に向って来るときがあります。こんなこともあろうかと常に柳の枝とかイタドリを持ち歩き、このときとばかり振りまわしながら「来るナ!」とか「モドレッ」とかわめきちらして阻止しようとするのですが、すれすれのところを猛スピードで通り抜けられてしまいます。

あるとき、川岸の柳が2、3本傾いてちょっとしたトンネルになっていました。この中を通り抜けていったばかりのカワガラスが、反撃に転じたように猛然としかも眼の高さで突っ込んで来た! このときの迫力今でも忘れていません。恥ずかしながらビビッたのです。夢中で振りまわしたので叩き落してしまったと心配しましたが、ナント左脇の下を通り抜けて行ったようです。つまり彼等にはUターンは無い!と言うことでしょうか。

支部報「カッコウ」2016年12月号より

離島の鳥たちとともに

公益財団法人日本野鳥の会 保全プロジェクト推進室 手嶋洋子

2015年春、8年ほど勤務した根室市春国岱原生野鳥公園から伊豆諸島にフィールドが変わりました。日本で最も寒い地域と言われる根室からサンゴが分布するような温暖な海に囲まれた地域へ異動し、湿原、針葉樹の森、高山植物など寒冷地ならではの風景に慣れ親しんだ目には、濃い緑の常緑樹の葉が強い日差しを照り返す風景は、まるで異国へ来たかのように映りました。

伊豆諸島は、大島、新島、神津島、三宅島など9つの有人島と100余りの島嶼からなり、離島ならではの生物相を作り上げています。中でも、三宅島はバードアイランドと呼ばれ、多くの鳥が暮らしています。海岸沿いの草原ではウチヤマセンニュウがあちこちでディスプレイフライトをし、森からはアカコッコや(オーストン)ヤマガラなど小鳥たちの声が響いてきます(()内は亜種名)。繁殖期、夜明け前の森で一斉にアカコッコが鳴き始めます。あちこちから聞こえてくるさえずりに感動して聞き入っていると、あっという間に森が静かになり驚きます。実は、アカコッコのさえずりのピークは日の出30分前から15~30分ととても短いのです。そのためアカコッコの調査はまだ暗い時間に始めなければなりません。アカコッコが鳴き始めるのを待っていると、直前までアオバズクが鳴いていたりします。

目を転じて海を見ると、カツオドリ、オオミズナギドリなど多くの海鳥を見ることができます。が、私にとって伊豆諸島の海鳥といったらカンムリウミスズメです。北海道には非繁殖期にやってきますが、その頃には残念なことに名前の由来になっている冠羽は抜け落ちてしまっています。一年のほとんどを日本の近海を移動しながら過ごしますが、繁殖期になると繁殖地の島嶼に戻ってきます。伊豆諸島は二番目の規模を持つ重要な繁殖地域になっていますが、各島の繁殖状況は近年情報がほとんどないため、この数年調査を続けています。

カンムリウミスズメが繁殖する島の多くは、小さな無人の火山島で、海から岩場が切り立つような場所です。島の周りを遊漁船に乗って周回しながら行う個体数調査は、船酔いに耐え、上下左右の揺れを踏ん張れば難なく行うことができますが、上陸調査はとても大変です。船の舳先を上陸可能な岩場に波のタイミングを計って押し付けてもらい、急いで岩場に飛び移ります。上陸出来たら出来たで、背の丈より大きな岩を乗り越えたり、切り立った崖に立ち向かわなければなりません。小さな島にもかかわらずアクセスできる場所が限られ、繁殖確認をするのはとても大変です。しかし、こうした厳しい環境が、陸上では器用に動けないカンムリウミスズメたちを守ってくれているのです。

残念なことにカンムリウミスズメもアカコッコも個体数が減少し、絶滅危惧種に指定されています。今後も生息環境や減少要因の調査を行うとともに、人工巣の開発や森づくりなど繁殖環境を改善する取り組みを続け、保護を進めていきたいと考えています。

繁殖地の島に上陸したカンムリウミスズメ(センサーカメラ(赤外線)で撮影)2016.4.23 午後11時14分

繁殖地の島に上陸したカンムリウミスズメ(センサーカメラ(赤外線)で撮影)2016.4.23 午後11時14分

支部報「カッコウ」2016年11月号より

消しゴムはんこ作家のバードウォッチング

消しゴムはんこ作家 宮西理絵

私は「ART&CRAFT KOTORI」という作家名で消しゴムはんこの製作販売を生業にしています。
消しゴムはんこ作家のバードウォッチング消しゴムはんことは、手描きのイラストを消しゴムに転写し、カッターで彫って作るスタンプです。
作家名「KOTORI(ことり)」の通り、幼少より鳥が好きで、バードウォッチングや飼鳥の飼育をしていました。
本格的に鳥見を始めた3年前からは、ますます野鳥観察にのめり込み、はんこにも野鳥モチーフを多く取り入れるようになりました。
父も趣味でバードカービングをしており、一昨年親子で鳥モチーフの作品を持ち寄り「鳥大好き親子展」を開催しました。
そんな中で、天売島在住で世界的に活躍されている写真家の寺沢孝毅氏と出会いました。
それをきっかけに、何度も天売島に野鳥観察のために訪問して、すっかり島の魅力に惹きつけられ、昨年ジャパンバードフェスで天売島応援団として天売島PRブースでの物販や、天売島の「海の宇宙館」で野鳥モチーフの消しゴムはんこを販売するようになり、野鳥グッズとしての販路を広げ、野鳥大好きはんこ作家のART&CRAFT KOTORIらしいスタイルが出来てきました。
そして「鳥見に行きたい」「仕事(はんこ作り)もしなきゃ生活出来ない」ならばどちらも融合してしまおう!と、来年3月から秋までの間、天売島に季節移住して、朝は野鳥観察と寺沢氏のケイマフリ繁殖地調査の手伝い、昼間は観光客に野鳥グッズの販売、夜は制作をして生活をしてみよう!と決めました。
天売島は、家を一歩出ればどこに珍鳥迷鳥が出るかもわからない探鳥地で、海に出ればそこは世界的に貴重な海鳥の繁殖地です。
来年は、聖なる鳥の島 天売島の魅力を私らしいやり方で発信していきたいと思います。
是非来年天売島にお越し下さい!
野鳥グッズと、沢山の野鳥の話題を用意して歓迎します!

宮西理絵さんのブログはこちら→「ART&CRAFT KOTORIの消しゴムはんこ」

支部報「カッコウ」2016年10月号より

アリゾナでのキャンプ取材

 

北海道新聞社写真部 富田茂樹

 

今冬、アメリカのアリゾナ州でプロ野球日本ハム球団が29年ぶりの海外キャンプを行いました。18日間の期間中、取材班の一員としてチームに同行し、写真撮影を担当しました。

キャンプ取材はスズメではなく、えたいの知れない極彩色の小鳥のさえずりが聞こえる早朝から始まります。クラブハウスに入る選手を待ち構え、準備運動から始まり打撃練習、投球練習、守備練習、紅白戦、個人練習、居残り練習・・・。宿舎へ戻る最後の選手を見届けると、空には一番星がきらり。なかなかハードな取材でしたが、ひそかな楽しみは「バードウオッチング」でした。

鳥好きであれば誰しもそうなのではないかと思いますが、海外へ行くと真っ先に目に入るのは野鳥です。見慣れた顔ではないカラスやハト、その名前の見当もつかないような鳥を眺めながら異国情緒を味わうことができます。が、しかし、アリゾナでのバードウオッチング中、室蘭市の地球岬を思い起こさせる瞬間がありました。

キャンプ中盤に行われた紅白戦を撮影中、上空からキィーキィーとどこかで聞いたことがある鳴き声が耳に入ってきました。ファインダーから目を外して空を見ると、3羽のハヤブサが捕らえた獲物を巡って空中戦を繰り広げるというなんとも豪勢な光景です。地球岬には何度か取材で通いましたが、こんな瞬間には出会えませんでした。心の中で「これはすごい」と絶叫しましたが、バッターボックスではバットを持った大谷選手が凛として構えています。大谷選手か、ハヤブサか・・・。上空にレンズを向けたい気持ちをぐっと抑えるしかありませんでした。

灼熱の太陽が照りつける昼下がり、スタジアムで集合写真を撮影中の時のことです。若い選手が「蜂だ」と叫び、逃げ回っていましたが、よく見ると虫ではなく鳥です。アメリカ駐在の他紙カメラマンに聞くと「ハミングバード(ハチドリ)だよ。家の庭によく来るんだよね」とのこと。慌ててカメラを構えましたが、あまりにも素早く、行き先の想像がつかないホバリング飛行を繰り返し、なかなかファインダーに収まりませんでした。きらびやかな羽の色はカワセミのようで、空飛ぶ宝石と呼ばれるのにも納得です。キャンプ期間中、ハチドリには幾度となく出会うことができました。

現地では幸運のシンボルとされるハチドリ。「蜂」におびえていた若い選手ですが、昨シーズンを上回るペースの活躍を見せています。

キャンプ地アリゾナの樹上で羽を休めるハチドリ

キャンプ地アリゾナの樹上で羽を休めるハチドリ

支部報「カッコウ」2016年8・9月号より

鳥好き市民の活動こそ自然保護の原点

 

NPO法人タンチョウ保護研究グループ  百瀬邦和

10P鳥参写真

私の鳥との本格的な関わりは千葉で先輩たちの活動に参加するようになってからです。行徳野鳥保護区でアルバイトやボランティアをしたり、全国を巡って鳥の標識調査をしたりしました。トキの捕獲は結果的に苦い経験になりました。その後は山階鳥類研究所の標本室で山のような標本を相手にする傍ら、「生きた鳥と接する」ことを口実にタンチョウやアホウドリに関わってきました。標本室ではリョコウバトやカロライナインコなどの絶滅種も身近でした。鳥好きな私が「今できることは何だろうか」という思いから、釧路に移ってタンチョウの保護研究に特化している今のグループで活動し始めて12年になります。代表をしている法人名が目指している「研究」まで手が届いていないのが残念ですが。

 

北海道のタンチョウは人馴れが進み、おそらくそれが影響して今や2,000羽に迫る程にまで数が増えました。しかし、かつて日本や朝鮮半島でトキやコウノトリが人間に近すぎたことで絶滅したことを思えば、数が増えただけで安心できる訳はありません。北海道のタンチョウが抱えている問題の背景は、同種だけでなく似た環境にある他種の存続にも深く関わっていると考えています。私たちが今できることは何だろうか!そう考えて、私たちは深刻な状況にある中国での、学生による子供たちを対象とした環境教育に力を入れています。また、釧路で市民参加によるタンチョウの調査も行っています。鳥を通して自然のことを知り、鳥のいる良好な自然環境が好きな人が一人でも多くなってもらわなければ、鳥や自然はどうでも良いという人ばかりになってしまいますから。

 

鳥好き人間の私は、どうしても鳥を通して自然を感じ、自然を愛おしく思う傾向があります。そう考えると鳥のファンを増やすことは市民向けの立派な環境教育でしょう。札幌支部の日頃の活動の一部は正にその点でしょうが、それに加えて一つの提案があります。私は札幌支部がかつて行なったカッコウキャンペーンが一時代をリードしたと思っていますが、今度は「鳥の立場から見た公園ランキング(評価)キャンペーン」というのはいかがでしょう。さらに膨らませて、都市公園に見る各都市の野鳥度ランキングという展開もあるでしょう。日頃は鳥好きとまでは言えない人たちに鳥や木々や草花を好ましく感じてもらうこと、これからはそれがとても大切になっていくはずです。同好グループの活動こそが、鳥類の保護、自然環境保護の土台を支えています。

 

昨年、釧路で開かれたEAAFP会議でヘラシギの絶滅は時間の問題であるという衝撃的な発表がありました。ヘラシギに続く鳥が、もしかしたら今はごく普通の鳥かもしれないのです。

 

気が付いたらあの鳥は・・・ということにはしたくありません。

支部報「カッコウ」2016年7月号より

抱卵をする昆虫―マルハナバチ

さっぽろ自然調査館 丹羽真一
エゾコマルハナバチ巣内

エゾコマルハナバチ巣内

北国の野山が一年でもっとも生き物たちで賑わう季節になりました。この時期、夏鳥が大忙しで子育てする傍らでは、花から花へと飛び回り、蜜や花粉を集めているマルハナバチの姿を観察できます。

マルハナは北方系の昆虫で、北海道では身近な生き物の一つです。海岸から高山、森林から草原、市街地まで分布しています。バードウォッチングのときに足元を飛ぶ姿を見ることも多いでしょう。

意外にも、マルハナには鳥との共通点がいろいろあります。第一に「飛ぶ」生き物であることです。敏捷性と力強さを兼ね備えたその飛翔力は、昆虫の中では群を抜いています。第二に、あまり知られていないことですが、高い体温を持っていることです。恒温性はありませんが、飛翔時の体温は35-40℃になり、低温環境でも活発に活動できます。第三に、これがもっとも重要な点ですが、巣を作ることです。「巣」を作る昆虫はたくさんいますが、子育てをするのは社会性昆虫と呼ばれる一握りの昆虫だけです。たくさんの幼虫を育てるため、1日に何度も巣と餌場を往復して蜜や花粉を集め、時には巣から数キロも離れた場所まで出かけることもあります。私はエゾコマルハナバチの巣を自宅で飼って観察したことがあり、働きバチが巣箱から次々と出入りする姿に感銘を受けましたが、小鳥よりもはるかに小さな脳で広い空間をどうやって把握できているのか本当に不思議でした。第四に、マルハナも抱卵をします。マルハナが営巣を始める5~6月は朝晩はまだ寒く、女王バチは卵や幼虫が入った初期巣と呼ばれる容器を抱きかかえるようにして暖め、発育を促します(このときも高い体温が役立つ)。ほかにも、高い学習能力や娘(新女王)によるヘルパー行動、托卵などの共通点を挙げられます。

鳥との関係は、直接的には「食う(鳥)-食われる(マルハナ)」関係です。モズはマルハナのはやにえを作ることが知られます。ただし、マルハナもいざというときには毒針で反撃するので、どの程度鳥に食べられているかは分かりません。一方で、マルハナが授粉して結実した液果を小鳥が食べるという形で、間接的なつながりを持っているといえます。

マルハナはおとなしいハチです。野鳥観察などで野山に出かけたときに、ついでにちょっとマルハナにも注意を払ってもらえれば幸いです。

支部報「カッコウ」2016年 6月号より