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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

「タンチョウ保護のこれから」シンポジウム実施報告

鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ 原田修

1月21日、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ開設30周年記念事業として標記シンポジウムを札幌国際ホールで開催しました。30年前に383羽だったタンチョウは、給餌等の保護活動が奏功し、現在はむかわ町で繁殖する等、約1,800羽まで回復しています。一方で給餌による人馴れから、人里での事故、農業被害、そして過密化した給餌場での伝染病蔓延のリスク等の課題も懸念されています。そこで、自然分散の最前線の道央圏で、タンチョウの現状とこれからの保護活動について知っていただくために開催しました。

まずはサンクチュアリの30年の活動報告の後、北海道大学大学院文学研究科専門研究員の久井貴世博士による基調講演「札幌周辺にタンチョウがいた頃の話」がありました。膨大な古文書の解読から、江戸時代の北海道には、道央、道北、道東、道南にタンチョウがいて、さらに当時は本州まで渡りをしていたと考えられています。「活鶴(生きた鶴)」「塩鶴(塩漬けの肉)」が幕府に献上されていたそうです。しかし明治時代の乱獲で釧路地方ではタンチョウが見られなくなりました。明治の半ばには、タンチョウの一大生息地は道東ではなく、千歳市や長沼町、南幌町、札幌手稲、丘珠、白石等の道央一帯だったとの事。

柳生会長のお話し

柳生会長のお話し

続いて当会会長の柳生博より「タンチョウとコウノトリの話」があり、ユーモアあふれる語り口と、制限時間を守ろうとする職員との掛け合いに、会場は笑いに包まれました。


最後に、5人の登壇者によるパネル討論が行われました。まずは、むかわ町でのタンチョウ繁殖の見守りや長沼町での遊水地へのタンチョウ誘致等の、道央圏での活動が紹介されました。意見交換では、「水田地帯への定着や誘致が新しい動き」「タンチョウ保護はこれまで一部の鳥好きの問題と思われていたが、鶴居村をはじめ、地域全体の問題として地域主体で考えようと方向転換しているのが重要」「新規生息地では(農業被害や人馴れを助長する)冬期給餌はしないで」「カメラマンには“見守り中”と表示しての巡回やパンフレットの配布、地元への声かけが重要」等の、これまでの実践に裏打ちされた説得力のある意見や提案が活発に交わされました。当日は188人の参加者があり、道央での関心の高さと今後の活動の重要性を改めて感じました。

支部報「カッコウ」2018年 4月号より

渡りの中継地、千葉県盤州干潟

日本野鳥の会千葉県幹事(磐州干潟探鳥会担当) 岡嘉弘

2017年11月5日の札幌支部西岡公園探鳥会に参加させていただいたご縁で投稿させていただいています。

盤州干潟を御存知でしょうか?千葉県袖ケ浦市から木更津市にまたがる東京湾に残る自然干潟です。東京湾に干潟があるの?と多くの人が疑問を持たれます。確かに東京湾の沿岸のほとんどが埋め立てられ、今や昔の遠浅の海岸を見られる場所は、盤州干潟以外では、船橋市三番瀬、葛西臨海公園等に限られています。その中でも、長さ7.5km、沖合2km、約1500ヘクタールの砂質干潟である盤州干潟は、東京湾最大の自然干潟です。川崎と木更津を結ぶアクアラインの両側に広がり、大潮の干潮時は、対岸の横浜まで歩けるのではないかというような広大な干潟です。横浜の後方には、どっしりと構えた富士山を望むことができます。

盤州干潟の特徴は、前浜と呼ばれる砂浜部分だけでなく、後浜と呼ばれる広大な葦原の塩性湿地が広がっていることです。前浜では、アサリなど2枚貝、カニ、ゴカイ、スナムグリ、ハゼの仲間の幼魚など海浜生物が、後浜では、カニはもちろん、ハママツナ、ハマヒルガオ、シオクグなどの多種の海浜植物が生育しています。

この干潟を、数多くの野鳥が利用します。特に、春秋にはシギ・チドリを中心に、渡り途中の休息に寄ってくれます。越冬するシギ・チも多く、ハマシギやミユビシギの群れは圧巻です。後浜では、季節によりオオジュリン、セッカ、チュウヒ、ノスリ、オオタカ、ハヤブサ、ミサゴ等が舞います。後浜の中には、浸透実験池と呼ばれるほぼ円形のドーナツ形の淡水湖があり、カモの越冬地になっています。

私は、この干潟で約20年間観察してきましたが、野鳥の種類や数が変わってきていると感じます。一昨年まで、浸透実験池の内側陸地に数百羽のカワウがコロニーを形成していましたが、昨年から、全くいなくなりました。10年程前までは、8月になると、干潟を覆わんばかりのコアジサシが集結し、渡りの準備をする光景が見られたのですが、今は一羽も見られません。シギ・チも減っており、以前の賑わいがありません。干潟の環境の変化もあるのでしょうが原因は特定されていません。それにしても多様な生物を育む広大な貴重な干潟です。これからも保全に協力していきたいと考えています。

偶数月の第一日曜日に定例の探鳥会を開催しています。東京方面においでの節は、ぜひご参加ください。

参考:盤州干潟を守る会 http://www2.tbb.t-com.ne.jp/haruet50/index.html




支部報「カッコウ」2018年 3月号より

津軽海峡・海鳥探鳥会

日本野鳥の会道南桧山  例会担当 西澤勝郎

 当支部の特色ある例会、七飯町ツバメのねぐら入り探鳥会・松前町白神岬バンディング探鳥会とならんで開催される「津軽海峡・海鳥探鳥会」について紹介します。

 この探鳥会の目的は、函館→大間間のフェリーに乗船して、観察する機会のない海鳥を船上から近くで観察するところにあります。なかでもハシボソミズナギドリの渡りを見ることができるのは、国内では太平洋上か津軽海峡等しかありません。その上、津軽海峡では四月中旬から六月上旬にかけて、東(恵山)から西(松前)側へ渡っていく時期しか観察出来ません。そして、これを観察する方法は二つあります。ひとつは今回紹介する船上から観察する方法です。もうひとつの方法は汐首灯台等の陸上から望遠鏡で観察する方法です。ものすごい数のハシボソミズナギドリが海面を縫うように渡っていく様子を見ることができる時があります。

海峡を飛ぶハシボソミズナギドリ

海峡を飛ぶハシボソミズナギドリ

 ハシボソミズナギドリは、四月の上旬に南半球のタスマニア島周辺海域で繁殖を終え、親鳥は体力のついたヒナを残し、自分たちだけが北半球に向けて飛び立ち、赤道を越え太平洋を昼夜飛んで北上し、好物のツノナシオキアミが春に大発生する三陸沖で一休みします。残ったヒナは大人の羽に換羽した後、親鳥の後を追い渡り始めます。太平洋を真直ぐ北上し一部は北方四島周辺やオホーツク海で夏を過ごしますが、更に北上を続け、ベーリング海や北極海を目指すものもいます。恵山岬から津軽海峡に入るごく一部の群れを私たちは観察します。帰りは津軽海峡を通過しません。九月中旬にまたタスマニア島周辺海域まで戻って繁殖するのです。南北の両半球で表層に大発生するオキアミ類に合わせて暮らしています。

 この例会は、2004年から始まり現在まで続いています。毎年、会員以外の一般参加者が多く、楽しみにしている常連の方もおられます。講師には海鳥研究で世界的な権威者、北海道大学名誉教授小城春雄先生に毎年参加して頂き、開会式でのお話や、観察中のアドバイスの判りやすく楽しい説明は、皆さんを魅了しています。いつも、多くの鳥達に皆さんが出会えるように願って企画していますが、昨年のように大間寄りの海峡で幾つもの筋になって飛ぶ様子を往復で見られたのは久しぶりでした。今までに、アカエリヒレアシシギ、オオミズナギドリ・ハイイロミズナギドリ・ミナミオナガミズナギドリ等72種を観察しています。

 一般の参加者の方からお聞きすると「日常では、鳥達を意識して観察することがないのでこの例会で新たに知るものがあって新鮮でした」とか「毎年違った海峡の一面を見る機会を得て感激しています」等の感想が寄せられます。毎年、皆さんが楽しんで頂ける例会になるよう心がけて開催して行きたいと思います。

支部報「カッコウ」2018年 1,2月号より

鳥の見る夢?

札幌科学技術専門学校  興野 昌樹

昆虫の触角は、科や目といった上位のグループの特徴を示すことが多く、見間違えがちなアブとハチとを識別するポイントの一つにもなっています。ハチの触角が太目で長いのに対して多くのアブのそれはかなり貧相で、違いは遠目にも見てとれます。ここはアブがハチに擬態する上での弱点なのか、ナガハナアブの仲間には太く変形した前肢を頭の前に掲げて触角を偽装するものがいて、その苦しい工夫には思わず笑みが浮かびます。

今年になって、このナガハナアブが飛翔中も前肢を掲げていることに気づきました。これはもう鳥向けの擬態であることに疑問の余地がありません。
昆虫の擬態については鳥が意識されることが多くて、フィリップ・ハウスの美しい本「なぜ蝶は美しいのか」の中でも鳥の視覚について論じられています。他の捕食者の影響だって間違いなくあるはずですが、前肢を伸ばして飛んでいるアブのけなげな姿に鳥の影響の強さを実感した次第です。

シャチホコガ(幼虫)

擬態には驚くほどモデルに似ている例が目立ちます。しかしモデル不明、でもいかにも怪しい姿をしているものもたくさんいます。中でもシャチホコガの幼虫は、際立って長い胸肢、大きな頭、かぎ状のいぼ足、尾端にふくらみと1対の突起を備えた異形の生物である上、刺激を受けると体をそらせて長い肢を震わせ、さらに体側面に隠されていた2対の眼状紋を開閉させます。この怪物のモデルの有害生物がいたらもうパニックものです。

この幼虫について前述のフィリップ・ハウスはサテュロス型擬態(いろいろな生き物のパーツに見えるものが混在することで、見る側を混乱させるタイプの擬態)の例として取り上げています。鳥の視覚にはヒトやサルとは違って全体像よりも部分の影響が強いという特性があって(たとえば動物心理研究という学会誌。ネットで読めます)、この擬態の概念には裏付けがあるのは確かです。でも鳥が混乱している隙に飛び去ることができる成虫なら知らず、動きの鈍いイモムシは敵を追い払わなければなりません。混乱程度ではなく相手が逃げ出すくらい「恐がらせる」必要があるはずです。

ヒトやサルではうろこのあるヘビの姿と「恐れ」とが生得的に結びついているそうですが、異なる視覚認知特性を持つ鳥の場合、心の中に「うろこ+細長い」とは別の恐怖のイメージを持っている可能性があります。もしかしたらその恐怖のイメージを利用したのがシャチホコガ幼虫のあの姿であり、あのイモムシは「鳥が見る悪夢のかたち」がこの世に具現化した存在なのかもしれません。

シャチホコガの幼虫を見つけたらぜひつついてみてください。深夜、鳥が怯える「それ」があなたの夢の中に出てくる、かも・・・。

支部報「カッコウ」2017年12月号より

『春国岱』冬のみどころ

(公財)日本野鳥の会 根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター
善浪めぐみ

春国岱の冬ならではの鳥との出会いと、春の耳より情報をお伝えします。根室への探鳥旅行を計画していただけると嬉しいです。

■ユキホオジロ

ここ何年かは目撃情報も少なく、見られたとしてもほんの数羽程度でした。それが昨年の2016年シーズンは、11月中旬に目撃されたのを最初に20羽程度のまとまった群で渡ってきて、地元や遠方から来られたバードウォッチャーを喜ばせてくれました。聞くところによるとユキホオジロが食べに来るハマニンニクは、30年以上前は、春国岱の海岸側の砂丘の先端に多く自生していたため、バードウォッチャーも風雪のなかを歩いて、彼らに会いに行っていたそうです。現在は砂丘の形が変化し、ハマニンニクが残っているのは幸か不幸か手前の駐車場周辺に集中しているので、お気軽に見ることができました。群でやって来て、ちょこっと穂先に乗って実を食べたり、仲間が落とした実を探してちょこまか歩く姿が、多くのバードウォッチャーを虜にさせてしまう所以なのだろうと思いました。ユキホオジロは、2月下旬まで観察されました。4、5日姿を見かけないことも何度かありましたが、完全に渡ったのではなく、根室半島内や春国岱の対岸の走古丹を行ったり来たりしているようでした。今シーズンもハマニンニクの生長は昨年並みだと思いますので、ユキホオジロの飛来に期待しています。

ユキホオジロ

ユキホオジロ

■春国岱・森林部散策路再開!

2014年12月に起きた高潮の被害により、森林部のアカエゾマツコースは閉鎖されたままになっていましたが、来春に約3年半ぶりに開通する予定です。管理する根室市に整備を要望する声が多く寄せられ、ふるさと納税を利用して散策路を修復することになったのです。現在は壊れた材木や倒木を、手押し車で運び出す作業をしています。ミズバショウが咲き、カラ類がさえずる季節の森に行くのが待ち遠しいです。

支部報「カッコウ」2017年11月号より

小さな町の小さな畑

日本野鳥の会会員 小林保則

虻田郡ニセコ町字富士見通107番地。ニセコ駅から通称サイレン坂を上って、羊蹄山(蝦夷富士)に真っすぐ延びる通りが富士見通。両脇に役場、町民センター、体育館、いくつかのお寺が並んでいる。昔ながらの住宅街でもあるこの地域にも、今話題のニセコエリア(倶知安町スキー場付近)で働く人々の住宅やアパートが建ち始め、外人さんと行きかう機会も多くなって、「変わりゆくニセコ」を実感する。

こんな街中に、300坪ほどの小さな畑がある。98歳で亡くなった母が96歳ごろまで、慈しんできた畑である。地べたに座って種をまき、這いずりながら草を取り、ゆっくりゆっくり作物を収穫していた。

母のそんな姿が忘れられず、5年前から、週末農業を始めた。

畑と羊蹄山

春、南向きの畑の雪どけは早い。雪が消える前に、畑に残しておいたニンジンを掘り上げる。近くの電線には、シジュウカラやヤマガラやスズメたちが、春が来るよと教えてくれる。やがて雪が消え、時々、アトリが地面を掘り返す。

5月、耕運機で、畑全体を起こす。春の日差しに囲まれているとはいえ、行ったり来たり歩は遅い。耕運機の音を聞いて、春一番毎年訪れる鳥達がいる。近くに営巣している番のハクセキレイと一羽のハシボソガラスだ。掘り返した土の中から出てくるミミズや土中の虫を一心不乱に追いかける。ハクセキレイは手を伸ばせば乗りそうなほどにも近づいてくる。

連休後一番の仕事はジャガイモの植え付けである。堆肥と肥料を入れて、畝を切る。切ったばかりの畝を雌のハクセキレイが歩き出す。その後ろを雄のハクセキレイが、ちょっと離れてハシボソガラスがついてくる。

昔から、農作業を手伝っていて母に褒められた記憶はない。「そんなんじゃだめだ!」母の口癖だった。常に近くに寄って来るこのハクセキレイは、畑の隅々まで歩き回り、まるで我々の作業のダメ出しをしているように見えてくる。この日から、母の名前「律江子」にちなんで、この雌のハクセキレイを「ツエ子」と呼ぶことにした。

5月後半から6月にかけて、トウモロコシの種撒き、玉ねぎ、カボチャ、サツマイモの定植と作業が続く。この頃から、近くのカラマツのてっぺんでカッコウが鳴き始める。畑の上空を横切って公園の街路灯に止まるのが日課のようだ。カッコウの声を聴きながら、豆を撒く。7月、逞しく育った草取りの作業中も「ツエ子」は我々の後をついてくる。来年もまた鳥たちの出会いを楽しみに、週末農業を続けたいと思う。

支部報「カッコウ」2017年10月号より

生息地を丸ごと守る

(公財)日本野鳥の会 野鳥保護区事業所 松本潤慶

渡邊野鳥保護区フレシマ

(公財)日本野鳥の会では、絶滅危惧種のタンチョウやシマフクロウを守るため、独自の「野鳥保護区」を設置しています。1986年に開始したこの活動は、ナショナル・トラストの手法を用いており、寄付金をもとに所有者から土地を購入すること、また所有者と協定を締結して開発しない約束を取り交わすことで、生息地を担保しています。  

道内においては1987年に根室市のタンチョウの繁殖する湿原7.6haを購入し「持田野鳥保護区東梅」が誕生したのを皮切りに、風蓮湖岸のラムサール条約湿地の範囲から外れた湿原群、厚岸町の別寒辺牛湿原、鶴居村の温根内湿原などの、法的な保護策がとられていない民有地を中心に保護区を作ってきました。2004年からは、この手法をシマフクロウへも拡大し、根室地域のシマフクロウの生息地の一部13haを購入して「持田野鳥保護区シマフクロウ根室第1」を設置しました。その後、日高、釧路、知床、十勝の各地域に保護区を広げるなど、積極的にシマフクロウの生息地保全を進めています。2017年現在、当会の道内の保護区は33ヶ所、3,559ha(タンチョウ:2,873ha、シマフクロウ:856ha)まで拡大しました。

このように当会では、北海道東部を中心に、広大な湿原や森林を保護区としていますが、それらの環境を維持し、末永く保全するためには、適正な管理を続けることが重要です。2006年には、根室市内に野鳥保護区事業所を開設し、専属職員が巡回や調査、環境管理を行なっています。近年では、地域の子どもたちとの森づくりや、企業のCSR活動の受け入れ、支部の探鳥会、ツアーのご案内などを通して、より多くの方々へ当会の活動を伝えています。そして、シマフクロウの生息数回復のため、繁殖補助のための給餌や、巣箱の設置も開始しています。

渡邊野鳥保護区ソウサンベツのタンチョウ親子

このような活動の甲斐もあり、道東にのみ生息していたタンチョウは約1,800羽まで回復し、道北や道央の一部へ分散しています。また、シマフクロウの個体数は約140羽と予断を許しませんが、分散個体が道央圏まで出没し始めています。この北海道を代表する2種が、札幌近郊で普通に見られる日も近いかもしれません。彼らが安定して生息するためには、湿原や森林の豊かな自然環境が必要です。その日を目指して、皆さんとタンチョウやシマフクロウの生息環境を守り、育てる活動ができれば良いなと考えています。

支部報「カッコウ」2017年8月号より

札幌は日本一のコウモリ都市

コウモリ写真家 中島宏章

主要都市のコウモリ

<衝撃の事実!>
 いきなりですが、表を見てください。日本の主要都市と数字が並んでいますね。これは何の数字だと思いますか?実はこれ、各都市で確認されているコウモリの種数なんです。なんと、札幌市はダントツで1位ですね!17種ものコウモリが確認されています(北海道全体では19種)。いまや札幌も190万人都市。しかし、このコウモリの事実を知っている人はつい最近までは僕だけだったでしょう(笑)。今日からはこの記事を読んだ皆さんも仲間入りです♪

<コウモリは指標生物>
 コウモリという生物は多様な環境に適応しているため世界に1300種もいる大所帯です。日本にも37種(絶滅種2種も含める)が確認されています。
 札幌が日本一のコウモリ都市という件について、面積も違えば(札幌は約1100km2、東京23区は約600km2)、含まれる環境も違うから、一律に比較出来ないじゃないか?という指摘もあると思います。その通りです。札幌は面積も広い上に、他の都市に比べて森林の割合が非常に高いですよね。だから、コウモリがたくさんいて当たり前じゃないか。その通りです。だから逆説的に「コウモリがたくさんいるということは、札幌は多様な自然環境を有している」ということの証拠みたいなものですね。「コウモリを見れば、そこの自然のことが分かる」ということです。
 そういう意味では、大都会の東京や大阪や名古屋のコウモリが少ないのも当然と言えます(ちなみに東京都全体だと、多摩や島嶼部も含まれるため14種まで跳ね上がる)。

<札幌自慢>
 札幌は「コウモリがたくさんいるから」素晴らしいんじゃなくて、、、「たくさんのコウモリが暮らしていけるほど豊かな自然があるから」素晴らしいのだと思います。コウモリを通じて、自分たちが暮らしている札幌の魅力に、市民の皆さんが改めて気づいてもらえたら、こんなに嬉しいことはありません。

支部報「カッコウ」2017年7月号より

カラスと共に行動する

NPO法人札幌カラス研究会代表 中村眞樹子

 札幌の6月と言えば散歩や自然観察などにちょうど良い気候で、繁殖中の鳥たちが忙しく食べ物探しに動き回っている姿にも遭遇できる。希少種や見た目がかわいいカモ類だと微笑ましいニュースになる場合が多い。特にカモ類の親子の引っ越しになると警官が誘導するなんて事もある。人間という生き物は見た目に左右されやすい傾向が強いと思うのである。

 私が長年研究対象にしている鳥は知らない人がいないに違いないはずのカラス類である。しかしカラスと一言で終わらせられていて実にもったいなく損をしている気がしてたまらないのである。カラスと一言で言っても「ハシボソガラス」「ハシブトガラス」がいてきちんと別種として記載されている。種が違うという事は行動も違っていて当たり前なのだが、いまだに十把一絡げにされている場合が多いのが現状かもしれない。

 幸いにも札幌市ではボソとブトを分けて考えて対応するようになってくれたので、ボソの場合は巣があっても看板設置をして見守ってもらえるようになった。10年以上前だと考えられない対応だよね。役所でもどこでもそうだけどレールに乗っているルールを変えるのってギャンブルに近く、成功すれば名が残るが失敗に終わると悲惨である。

 この原稿を書いている目の前をカラスたちが忙しそうに右往左往して飛び交っている。飛び交う理由はゴミ回収車や歩きながらパンを撒いている人を追いかけているからである。あとは近隣で子育てをしているカラスが給餌のために食べ物探しをしているからである。最近は見られなくなって残念だが薬局の店先のワゴンに入っているお菓子を万引きするカラスがいてそれはそれは見ていて楽しかった。(笑)
札幌は都市部の割にはブトとボソがある程度バランスよく生息していてお互いに意識しあいながら暮らしているのだと思う。ボソの方の繁殖開始が早く5月の最後の週にはかわいい雛の巣立ちが始まる。しかし繁殖開始が早い分5月にある通称「リラ冷え」にぶつかり、強風や低温が続いてしまうと孵化したばかりの雛の体温維持が出来ないのかGW明けに放棄してしまう番も少なくない。すぐに再営巣するボソもいるがそのまま止めてしまう場合も少なくない。
その分ブトは4月中旬に抱卵に入る場合が多いのでリラ冷えの時はまだ卵なので守りやすいのだろう。放棄する番は比較的少ないかもしれない。しかしもしもブトもボソも同時に繁殖を始めたらきっと大変な事になるだろうと思っている。もちろん確証はないけど、雛への給餌に伴う食べ物の取り合いやブトがボソの巣に入り込んで卵や雛を食べちゃうとか色々と想定される、微妙な繁殖開始のズレが子孫を残すための戦略なのかなと思うのである。
カラスという鳥は住んでいるエリアによって同じ種であっても行動が違うという面白い鳥である。特に札幌のカラスはフレンドリィな面が多く、本州の人からは驚かれる事がある。しかし私はカラスの方が上手に人間を観察して利用しているように思えてならないのである。
書きだしたら止まらないのだが今回はここまでで終わり。最後にちょっと私事になるけど宣伝を。。。。

「2017年9月に北海道新聞社より『札幌のカラス』を発売予定」

 日本にはたくさんのカラスに関する本が出版されていますが、札幌のカラスという地域限定の面白い行動を紹介する内容になります。今執筆中ですが9月に発売されたらぜひお買い求め下さりカラスの魅力に取りつかれてほしいと思います。

支部報「カッコウ」2017年6月号より

女子探鳥会のとりくみ

日本野鳥の会オホーツク支部幹事 川崎 里実

「女子会という集まりがあるんだから、女性だけの探鳥会があってもいいんじゃない?」という軽い思いつきで、女子探鳥会は始まりました。
参加者は女性限定。企画や広報、当日の案内(探鳥会リーダー)も、すべて女性が行います。

女子探鳥会はいざ始めてみると、いつもの(男性の)メンバーがいないのでちょっと寂しいような・・・気もしましたが、すぐに和気あいあいとした楽しい雰囲気で鳥見を楽しむことができました。女性だけのグループで1羽・1種類の鳥に出会うと、その場で時間をかけてじっくりと観察できるような印象があります。シジュウカラやマガモなどごく普通の鳥でも、なにげないしぐさを見ては「かわいい!」「何を考えているのかな?」などと想像します。たとえ鳥が出なくても、一緒に歩いているだけで会話が弾みます。なんと素晴らしいのでしょうか。おまけに時々パートナーの愚痴が飛び出したりして、ストレス発散にも効果あり?!

女子探鳥会

探鳥会後にはランチやお茶を楽しむ時間を作りました。昼食を食べながらおしゃべりを楽しみ、初対面の方や初めて参加された方も、ゆっくりと交流できるようにしています。
そしてイベントを企画・実施するにあたって、大切なのがPR。支部報と支部のHPのほか、北海道新聞(地方版)と網走・北見地方のローカル情報誌に広報していただきました。会員だけでなく非会員にも知ってもらえるように広く広報することをこころがけています。「女性ならどなたでも歓迎」の姿勢と話題性もあってか、時々地方紙の記者さんが同行され、記事にしていただくこともありました。ちなみに同行される記者さん・カメラマンさんも女性限定。「もし男性記者さんが来られる場合は女装してください」とお願いしていますが、まだ残念ながら(?)その実例はありません。

参加された皆さんからは「女性なら初歩的なことも優しく教えてくれそう」「申し込み不要なのが助かる」「みんなで食べるランチが楽しい」などのご感想をいただいています。女子探鳥会をきっかけに初めて探鳥会に参加された方もおり、他支部からも関心を寄せていただくなど、交流の幅が広がったと思います。女性幹事も参加者も、皆さんが「あー、楽しかった!」と言ってくださることがとても嬉しく、やりがいを感じます。

今後の課題としては、女性幹事は探鳥会の担当役(リーダー)となると荷が重いと考える方が多いため、なかなかリーダー役のなり手がいないことが挙げられますが、例えば手芸が得意な方に講師役をお願いしてワークショップ形式のイベントにするなど、女性ならではの楽しく無理のない企画ができたらと思っています。

支部報「カッコウ」2017年5月号より