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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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ガラス窓と野鳥

日本野鳥の会札幌支部 宮崎 武敏

もう10年以上前の事。単身で青森市に住んでいた時、買い物のために大型店舗の入り口に差し掛かったとき、”コン”という音と「ぎゃっ」という声と共に足元に一羽の小鳥が転がり落ちてきた。ガラスが風景を反射させて、その先にも空間があると錯覚してしまう。飛んでいる途中でガラスドアにぶつかってしまったようだ。窓に強く頭をぶつけているのだろう、その鳥は地面のインターロッキングブロックの上で動かない。目を開けたままボーツとはしているが立っていて死んではいない様子だ。初めて目にするその小鳥は頭が黒くて、羽は灰色っぽく脚が黒い。

その当時、自宅でオカメインコ(ルチノー)を飼ってはいたが野鳥の事は全然分からなかった。知っている野鳥と言えば、スズメとカラス(ブトやボソの区別も出来ない)、ドバト、白鳥、トンビ、マガモくらいなものだった。

シジュウカラ店舗の出入り口前なので通行人が多くて危険なため、両手ですくうようにして持ち、通路脇に寄る。右の手のひらに乗せて、左手でスマホを構えて写真を撮ろうとすると、そっぽを向いてしまい目が写る写真が撮れない。掌の向きを変えて何とか顔の入った全体写真を撮ろうとするが、その鳥は無意識に拒否反応が出ているのか顔だけそっぽを向いてしまう。顔がばっちり入った写真は撮る事を諦めた。さて、これからどうしたものか?と考えて周りを見渡すと、すぐ隣に公園がある事に気づいた。ひとまず鳥を掌に載せたまま水飲み場へ向かい、嘴に水をつけてみる。それでも様子はあまり変わらない。そうしているうちに、この鳥は「ハッ!」と我に返ったかのように飛び立ち、近くの木の枝に止まった。そこから私の方を見つめている様に見えた。そこで私はもう大丈夫だろうと思ってその場を立ち去った。後で妻に撮影した写真を送りその鳥がシジュウカラだと知った。

野鳥の事を少し分かるようになった今なら、シジュウカラを間近で見られるチャンスがあればもっとよく観察することが出来るだろう。もったいない事をした。当時の知識に乏しい私にはシジュウカラの脚が黒く光っていたのがとても印象的だった。

札幌の自宅マンションの1階エントランス外でも、ガラス窓にぶつかって床で気絶?脳震盪?を起こしている小鳥を見かけたことが幾度かある。きっと全世界で、同じようなことが多数起きているのだと想像すると、衝突防止のためにすべてのガラス窓を模様や色付きに変えてしまえないかと考えてしまうのである。

支部報「カッコウ」2025年 9・10月号より