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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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ともに伝え、ともに守る

〜レンジャーとボランティア協働の1年〜

日本野鳥の会苫小牧グループレンジャー石川智大

ウトナイ湖サンクチュアリネイチャーセンターに着任して、あっという間に1年が経ちました。初夏のヨシ原や林内に響く野鳥たちのさえずり、秋のウトナイ湖で休息するマガンやヒシクイ、厳冬の静けさの中で見るオオワシやオジロワシの姿、そして春の訪れとともに始まるガン類の渡り——北海道の自然の移ろいの速さとその美しさに、日々驚かされながら過ごしています。

レンジャーの仕事に就いて気づいたことは、自然に触れる機会と同じくらい、人との関わりが多いということです。ネイチャーセンターには「サポーター」と呼ばれるボランティアの方々が30人ほどいらっしゃって、野鳥の生息状況の調査や施設の整備など、多岐にわたってレンジャーのサポートをしています。特に毎月実施する調査では、野鳥の識別に長けた方、見つけるのが得意な方、観察結果をわかりやすく記録するのが得意な方など、それぞれが得意分野を持ちながら活躍されています。

先日、定例の調査を行った際、思いがけずタンチョウが現れ、サポーターの皆さんが一斉に注目したことで、調査が一時中断しかけたことがありました。そんな時こそ、レンジャーである私の出番です。全体の様子を見ながら、目的を再確認しつつ調査に戻ることができるよう助言をしました。サポーターの皆さんに主体的に取り組んでもらいながら、レンジャーが調整役として関わる、この協働のバランスに面白さとやりがいを感じています。

一方で、私がサポーターの皆さんから学ぶことも少なくありません。小学校の団体向けに作成した教材に対して、「文字が小さい」「光が反射して見づらい」「子どもが飽きてしまう」といった率直なフィードバックをもらったこともありました。レンジャーにはない利用者目線の気づきがあり、逆にレンジャーが持つ自然解説の視点もあります。お互いの視点が異なるからこそ補い合える関係であり、「伝える」ことの難しさと奥深さを日々実感しています。

これからもウトナイ湖の自然を守り、その魅力を伝えるために、サポーターの皆さんや来館者の方々とのつながりを大切にしながら、活動を続けていきたいと思います。

支部報「カッコウ」2025年7・8月号より