時空を超えてバードウォッチング!?
札幌支部の皆様ご無沙汰しております。私は今、諸事情ありまして札幌の家族と離れ、単身、地元である山形県上山(かみのやま)市という所におります。歌人、斎藤茂吉の出身地であり、歌にも多く詠まれているように蔵王を美しく望む町です。札幌の探鳥会では夫が今もお世話になっております。どうかよろしくお願いいたします。
当初こちらへの滞在は一時的なものになるかと思っていましたが、早3年目に突入、今は仕事にも就いております。何十年かぶりの実家であれこれこなしながら、時間を作っては、歩いて15分程の裏山ともいえる場所に鳥を見に行き気分転換をしていました。北海道で野鳥の魅力に目覚めた私は、地元で会える鳥が密かな楽しみでもありました。しかしこの裏山、私の遠い記憶の景色とは一変。裾野に広がっていた水田はわずかな畑を残す以外は全て荒れ地となり、所々にイノシシ捕獲用の罠なんかが。コロナ禍もあってか登山道も整備途中なままで随分寂しい場所になっていました。まあでも自然は豊かですから野鳥は多く、ゴジュウカラの腹の色、アオゲラの警戒心、コガラの鳴き声など、イノシシとクマにビビりつつも北海道との違いを感じ楽しんでおりました。そんなある日、実家の片づけをしていてちょっと驚きのものを見つけました。それはまさに自分が鳥を見に通っている裏山を含む一帯(地元では西山と呼んでいる)の歴史や自然が、約30年前にまとめられた古い冊子でした。バブル絶頂期の1988年~1989年、ふるさと創生事業という政策が行われましたが、我がふるさとは交付金の一部を西山の自然調査と保全、そしてこの冊子の発刊に充てたようです。冊子は近隣の住民にのみ配られたようですが、当時の西山は市民にとって今よりずっと馴染み深い里山だったのです。85ページに渡り動植物が詳しく記載され、鳥類については69種もの記録が! かつて同じ場所で鳥を調べている人がいた事を知り胸が熱くなりました。この貴重な記録が忘れられて良い訳はない!となにやら使命感のような気持ちが湧いてきて、以来この冊子を参考に西山、ひいては地元を広く観察しています。残念ながら今はもうなかなか会えなくなった鳥の記録も…。月日の流れと環境の激変ぶりを感じながらも30年前と現在、北海道と地元を比べながら鳥を見られることに感謝し、これからもバードウォッチングを続けていきたいと思っています。