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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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岡山県のブッポウソウ保護活動

岡山県支部 幹事 渡辺 裕幸

ブッポウソウを見たことがありますか。
5月初旬に東南アジア方面から飛来し、北海道を除く、全国の寺社林周辺で繁殖していた絶滅危惧ⅠB類(環境省レッドリスト)、森の宝石とも呼ばれる美しい夏鳥です。鳴き声はゲゲゲー、仏法僧と鳴くのはコノハズクです。昭和10年頃から天然記念物として(1)宮崎県狭野神社(2)岐阜県州原神社(3)長野県三岳(4)山梨県身延山の4カ所がブッポウソウの繁殖地として指定されましたが、現在、いずれの場所も繁殖は見られません。東京都八王子市の高尾山での繁殖確認も83年が最後でした。

岡山県支部では、88年から県下全域で4年間ブッポウソウ生息状況調査を行い、営巣の可能性の高い巣穴68カ所のうち46カ所が木製電柱であること、個体数96羽を確認しました。県北西部の蒜山地区で、コムクドリ用に掛けていた巣箱にブッポウソウが繁殖している事例も報告されました。一方、営巣に利用されていた木製電柱は、コンクリート製や鋼管製の電柱への取替が進められていた時期だったので、ブッポウソウ用の巣箱を製作し設置してみようと考えました。そこで繁殖密度が高かった吉備中央町加茂川地区に巣箱を設置する試みが始まったのです。90年の9個から始まり、91年には巣箱10個中4個で営巣、92年からNTT電柱に設置許可を取り設置数を順次増やしました。昨年13年は吉備中央町で195個(うち岡大管理33個)、近隣市町村で122個と全県で317個の巣箱が設置され、巣箱利用率は約70%になっています。
巣箱調査や標識調査、ビデオカメラから、少しずつ生態も分かってきました。餌としてカナブンなど甲虫類、セミやヤンマなどの飛翔性昆虫類などを捕食し、貝類や缶蓋などを胃内で碾き臼として使う習性を持ち、ほぼ前年と同じ巣箱に帰って来る。水田が広がる昆虫類が多い里山の環境を好み、人家や道路の影響は少ない。

中国地方では、広島県下各地でほぼ同規模の巣箱掛けによる保護活動が行われおり、鳥取県も14年前からの保護活動が成功しています。長野県や京都府では告示で「ブッポウソウ保護回復事業計画」を昨年から開始しましたが、同じ里山環境に巣箱掛けを続けても、継続的に利用されない県も多くあるようです。
吉備中央町では、95年ブッポウソウを旧加茂川町の「町の鳥」に指定し、小学校での巣箱作りや観察会を支部が指導をしました。町村合併後の06年高円宮妃久子殿下を来賓にお迎えして「ブッポウソウ保護フォーラム2006 in吉備中央町」を開催してからは、町民の中にも「私たちの町にやってくるブッポウソウ」の意識が非常に高まり、12年町役場として説明パンフレットを作成し全戸配布、13年ピンバッチ販売や「希少野生動植物を保護する条例」でブッポウソウとニホンメダカを指定するなど、行政が音頭をとった支援も得られるようになりました。

06年に一部観察ルートを公表し、3カ所の「ブッポウソウ案内所」で巣箱内のライブ映像を公開した頃から、ブッポウソウ観察や撮影目的だけの訪問者が急増して、心ないマナー違反者が増えて来たことも現実です。支部では、HPやtwitter、facebookを使って広くブッポウソウの情報を伝えることでファン層を拡大させ、理解者の増加によって抑止力効果が出ることを期待しているところです。

1.春の巣箱新規設置作業、2.地元や一般観察会の案内、3.秋の全巣箱掃除と繁殖調査などの保護活動自体は24年間変わってはいませんが、参加会員の高齢化による後継者不足が喫緊の課題となっています。また、本来は大自然の中で生息していたブッポウソウに対して、何時どのような形で私たちの手を外して自然に返せば良いのか、その糸口がナカナカ見つかっていないのも実情です。

北海道の皆さん、岡山県で森の宝石「ブッポウソウ」を観察してみませんか。

ご参考:岡山県支部HP(http://plus.harenet.ne.jp/~wbsjokym/

巣箱へ給餌にきた親鳥(両足輪付き)/ 撮影:秋山 登(岡山県支部会員)

巣箱へ給餌にきた親鳥(両足輪付き)/ 撮影:秋山 登(岡山県支部会員)

支部報「カッコウ」2014年5月号より