栗山町の自然体験活動
皆さん、夕張郡栗山町と聞いて場所や思いつくものが、すぐにイメージ出来るでしょうか。地理的にはさっぽろテレビ塔から東へ40km程の農業を主産業とした町です。最近では、日本ハムファイターズの栗山監督と繋がりのある町と思い浮かべる人も多いかと思います。蝶のオオムラサキを思い浮かべた方は、自然環境活動に関心の高い人かもしれませね。
私の所属するNPO法人雨煙別学校も栗山町を拠点に自然体験活動を行っている法人です。法人名に学校とあることから、何やら教育に関わる仕事と想像がつくと思います。施設は昭和11年に建てられた築80年の旧栗山町立雨煙別小学校で、道内に現存する最古の2階建木造校舎です。2010年にコカ・コーラ教育環境財団の活動施設と、栗山町の自然体験学習の拠点を目指しNPOを設立、宿泊体験施設「雨煙別小学校 コカ・コーラ環境ハウス」として再生し、6年が経過しました。活動内容は、栗山の自然や風土、農林業を題材に、子供から大人を対象に実体験を通して、人と自然の共生を考えられる人づくりをめざしています。特に、栗山町の小・中学校では「ふるさと教育」と言う町の政策で、授業に様々な自然体験プログラムが取り入れられ、全小中学校の児童、生徒が年平均3回以上もの体験学習を経験するまでになっています。
こうした活動ができるのも栗山町民と町の地道な活動が背景にあります。今から32年前の1985年(昭和60年)に理科の副読本作りの中で、同町にて国内東北限となる国蝶オオムラサキの発見が契機になり、その後「人と自然が共生できるまちづくり」が進められ、同時に子供達への自然体験や環境教育活動も活発に行われました。2000年には農業放棄地となった谷地を子供達の自然体験フィールドとして再生する「ハサンベツ里山20年計画」がスタートするなど、積極的に展開してきました。結果、町内外からも体験型の環境教育の要望や問い合わせも多くなり、これまでの活動のノウハウや継承する人材の育成を踏まえ、自然体験のプログラム化と受け皿としての法人化に繋がりました。今では60以上もの体験プログラムやパッケージプランがある他、年間20回以上の体験行事も実施しています。興味のある方は是非ホームページhttp://uenbetsu.jpを覗いてください。最後に自然体験フィールドは、利用すればするほど傷つきます。その傷を回復するための行動が必ず必要です。身近な自然といつまでも共生する活動を続けたいと思っています。