北海道のトコロジストたち
鳥日和のレビューページではトコロジストという新しい言葉を紹介しました。ここではそうした人たちが町おこし・地域活動に携わった北海道内の事例を二つ紹介します。
1989年当時の環境庁が全国から100箇所ほど、身近な場所で、昆虫や野鳥などをとおして自然環境をたいせつに守っている地域・団体を「ふるさと生きものの里」として選定しました。北海道からは4つの場所と団体が選ばれています。
そのひとつが空知管内栗山町のオオムラサキの会です。1985年地元でオオムラサキが発見されたのを機に、それをシンボルにして自然環境を保全する機運が高まり、以来市民と行政が一体になって活動しています。北海道では初めて「里山」の概念を取り入れて町おこしを始めた所で、その後離農した農家から土地を提供され、里山づくりを進めています。野鳥愛好グループや植物の会、さらに青年会議所のメンバーも加わり、行政の支援もあり、さまざまな活動を現在も続けています。数年前には企業の支援を受け、廃校になった小学校を利用し、宿泊可能な環境教育プログラムを実施するNPO法人をつくり運営しています。
もう一つは遠軽町丸瀬布にある丸瀬布昆虫同好会です。偶然なのでしょうがこちらも栗山と同じ1985年に活動を始めています。行政に昆虫での町おこしをはたらきかけ、昆虫生態館を作り、専門家を雇用し、みごとな生態展示をしています。現在の活動は町内の子供を対象に「わくわく自然体験」という行事を毎月おこなっています。また昆虫生態館の展示づくり、昆虫の調査・保護活動、近年は特定外来種の駆除もやっていて、それらが評価され2013年には環境大臣表彰を受けています。
自然の中へ入り、そこで見たこと、知ったことからその場所の自然環境の大切さを感じる人は多いのではないでしょうか。身近に自分のフィールドを持ち、あなたもトコロジストをめざしませんか。
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