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トコロジストになろう!

トコロジストになろう!

著者:箱田敦只(日本野鳥の会普及室)
発行:公益財団法人日本野鳥の会
変形B6判 96ページ

 本書は日本野鳥の会ブックレット(2)および(3)の二分冊で、財団職員の箱田敦只(あつし)さんが書いている。


 トコロジストという言葉を聞いたことがあるだろうか。(2)体験編に意味と概念が記されている。トコロジストとは「場所」をさすトコロに「~をする人」のイスト(ist)をつけた造語で、故浜口哲一さん(平塚博物館元館長)が提唱した。

 トコロジストは、鳥、野草、虫など特定の分野だけでなく、その地域の歴史や風土など広い分野に知識、興味がある人のことをいう。これまで専門家という呼び名は、一般的には鳥類学とか植物学、昆虫学、歴史学などある特定の学問分野について詳しい人のことを指していた。浜口さんは「ところが自分のフィールドが好きで、何十年もの間同じ場所に通い続けている人の中には、一つの分野についてはそれ程でなくても、その場所のことについては誰よりも詳しく知っているという人がたくさんいる。場所の専門家たちは、いわゆる学問的専門家とは違った視点で地域の自然を大切におもい、守ることに尽力している。市民ならではの視点を持った人たちにも、社会的な位置づけを与えたい」とトコロジストの大切さを訴えたのだった。

 このような「場所」に視点を置いた活動は、その場所の近くにいる市民にしかできない。また「ところ」の専門家たちは、たとえば「ところ」の行政に対してその地域の将来プランを提案することもできるのではないか―というのが私の感想である。

 日本野鳥の会は、ちょうど八十年前に生まれた。創設者の中西悟堂さんがそれまでとは違った鳥と人間の関わりを模索する中で、新しく「野鳥」や「探鳥」という言葉を造った。同じようにこの「トコロジスト」という言葉も、今までになかった考え方・行動の方法を表現するためにどうしても必要な言葉なのだろうとおもうのだ。

(山田三夫)
日本野鳥の会ブックレット「トコロジストになろう!」は体験編と実技編の2冊セット1,000円で頒布されておりましたが、現在頒布終了しております。
でも、どうしても読んでみたいという方のために、現在1冊にまとめて書籍化作業進行中です。
2014年10月中くらいには出版されるそうなので、もう少しだけお待ちください。