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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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庭に来る野鳥

カッコウのイラスト請負人 小山田 尚子

数年前から、雪が積ったころ、庭木の冬囲いの竹にリンゴやナシを刺して、簡易バードテーブルを作っている。お客はもっぱらヒヨドリで、どこで見ているのか、リンゴを刺すと間もなく、あの「ピィーヨ」という甲高い声とともに、庭にやって来る。

 毎年つがいと思われる2羽が連れ立ってやってくるのだが、必ず一羽は近くの木にとまって、もう1羽が 食べ終わるのを待ち、食べ終わった方が飛び立つと、おもむろにバードテーブルへと向かう。「親しき仲にも礼儀あり」なのか、天敵に襲われないように、見張りをする習慣になっているのか、いずれにしても、協力しあって餌を食べているのは、見ていてほほえましい。

 しかし、今年、初めて2羽が同時にバードテーブルにいるところを見た。

 その日は、急に風が強くなって、一転にわかに掻き曇りといった状況だった。最初はいつものとおり、1 羽ずつ交代で食べていたのだが、風雪が激しくなってきた時、順番待ちをしていた1羽がバードテーブルに飛んで来た。この時ばかりは、交代することもなく、 1羽は竹につかまり、もう1羽はムシロにつかまって一心不乱にリンゴを食べ続け、食べ終わると、一緒に山のほうへと飛んでいった。「天気が荒れてきたか ら、早く食べて帰ろうよ。」といったところか。

 こんなふうに、冬になると、ヒヨドリ観察ばかりしているような気がする。いや、もしかすると、私がヒヨドリに観察されているのかもしれない。
リンゴも残り少なくなってきたので、そろそろバードテーブルをやめようと決意したある朝、玄関を出る と、頭上から「ピィーヨ(また来ましたぜ)」という声。おまけに、リンゴのないバードテーブルに飛んで行き、「ピィーヨ、ピィーヨ(リンゴがないけど、どおしたのかな)」とキョロキョロしながら鳴き続ける役者ぶり。私の決意はあっけなく崩れ去ったのである。ヒヨドリに、「ここの住人は、押しに弱い」と見抜 かれた気がする。

 雪解けも進み、4月になると、ヒヨドリはぱったりと庭先に来なくなった。野山で餌場を見つけたのだろう。これで、しばらくはヒヨドリに振り回されずにすむようになった。

 春になって、山が鳥の声で賑やかになってきた。我が家は、山と川に挟まれた場所にあるので、1年を通 じて結構色々な野鳥が立ち寄ってくれる。シジュウカラ・ヤマガラは常連さん、ムクドリ・ツグミ・ハクセキレイ・コゲラ・メジロ・キジバト、大きなもので は、ハイタカが松にとまっていたこともあった。先日初めてマヒワを見ることができた。スズメの集会もそろそろ始まりそうである。これから夏に向けて、今年 はどんな野鳥が来てくれるのか、とても楽しみだ。

 ところで、庭先に来なくなったとはいえ、ヒヨドリの姿はよく見かける。冬場よりは控えめな声で鳴きながら、上空を軽快に飛んで行く。半年後、ひょっこり庭に現れるのを期待しつつ、それまで元気でねと空を見上げる今日この頃である。

支部報「カッコウ」2014年 6月号より