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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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「意外と見られる!?トラフズクとコミミズク」

道央鳥類調査グループ 先崎啓究

10月 岩見沢市 夜間、餌を探すトラフズク

夜行性のフクロウ類はどれくらい生息しているのだろうか?そんな疑問が湧いてきたのは、日中は稀にしか見られないトラフズクが、夜間探し回ると実は日中より多く見られることを実感しだした2009年頃になります。では、いつ、どんな場所でどのくらいいるのか。そんな興味に駆り立てられ、彼らの生態に合わせていつしか自分自身も「夜行性」となる日が増えてきました。探し方は単純です。秋季~冬季の日中にフクロウ類が生息してそうな環境に目星をつけ、夜間にライト片手にひたすら探し回ることをずっと繰り返します。初めのうちは、絞り込む環境がよくわからず、一晩で1羽見られれば御の字でした。それが次第に種類別の好みがわかり、今ではどの時期にどんな場所に行けばどのような種に出会いやすいのか、ある程度の傾向が分かるようになってきました。

観察機会が多かったコミミズク、トラフズクについて、近年よく通っている石狩川下流域(江別市~美唄市辺り)での例を中心に紹介します。まず、両種とも、風が弱い日に多く観察される傾向がありました。冬鳥であるコミミズクは、実は結構早い時期から見られることが分かりました。当地では、例年10月10日過ぎに初認され、それから積雪で地表が見えにくくなる12月上旬まで見られます。多い日には一晩で10羽程見られることもありました。試しに夜間に観察できた場所を翌日の日中に探し回ってみると、ほとんど見つかりませんでした。夜間出会うコミミズクは、草丈が短い開けた環境で見られることが多く、飛びながら餌を探したり、杭や地上で休む姿がよく見られました。続いてはトラフズクですが、こちらも10月10日頃から石狩川下流域で多く見られ始めます。コミミズクよりも飛来のピークが出やすく、概ね10月下旬までにピークを迎え、11月に入ると観察数が減っていく傾向がありました。ピーク時には一晩で20羽程を観察できたことがありましたが、この時は「当たり年」だったようで、大体一晩で10羽程見られることが多いような印象です。こちらはコミミズクよりも背丈が高く、灌木が混ざる草地でよく見られました。また、石狩川下流域で数が減る10月下旬以降は、北広島市や恵庭市、千歳市などの石狩平野南部で徐々に観察数を増やすことが分かり、石狩川から平地沿いに南方へ渡っていることが示唆されます。

道内ではこの2種以外にも多くのフクロウ類が生息しています。今後、他のフクロウ類に関しても時間の許す限り迫ってみたいと考えています。

支部報「カッコウ」2019年5月号より