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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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迷鳥との出会い

日本野鳥の会札幌支部  竹田芳範(本文及び撮影)

その鳥を初めて見たのは七月二十三日、東屯田遊水池付近の
発寒川でです。その前の週に河畔林で「空飛ぶ宝石」が枝に止まって魚を獲るシーンをたっぷり見ることが出来たので、二十三日はそれ目的で発寒川に出掛けました。でも、青い鳥には会えませんでした。その代わり、カワセミを探している最中に岸辺の草むらに潜んでいる鳥が目にとまりました。私でも見つけられるような特徴を持った鳥でした。一番の特徴は首から腹にかけてが白い羽毛で覆われている点でした。もしも羽毛が茶色や灰色だったら見逃していたと思います。この白色のお陰で、岸辺まで距離はありましたが、双眼鏡に鳥の姿を入れるのは難しくありませんでした。帰宅して図鑑のページをめくると、該当するのはシロハラクイナだけでした。バンとほぼ同程度の大きさだということもそのとき知りました。

この日から、雨の日以外は同じ場所に通っては、50メートル離れた岸辺にいるこの鳥の様子を見守りました。最後の観察となる八月二十六日までの約一ヶ月間、家を出発するとき「まだ渡去しないでいてくれよ」と願わずにいられなかったのは、道内で見られることが滅多にない鳥だからです。いくつかの図鑑には、近年分布を北に広げつつあると書かれていました。その証拠に、北区の百合が原公園では2016年に繁殖を観察した人がいたと聞きます。同じ年、伊達でも観察例があったそうです。

さて、毎回の観察中、シロハラクイナは置物のようで、ほとんど動きがありませんでしたが、水浴びシーンを二回見ることが出来ました。時間は計りませんでしたが、結構念入りに行っていました。それと、たまに岸辺を歩いたので、クイナ科の鳥らしいがっしりとした黄色い脚と長い足指を確認できました。

ワイルドライフというテレビ番組の八月二十日放送分は「奄美・沖縄 原始のウサギ・ヤマネコ」でした。私が画面にかじりついていると、センサーカメラが捉えたイリオモテヤマネコが
写し出されました。二~三分ほどのシーンの中に何とシロハラクイナも二羽登場し、カメラの前を早足で通り過ぎていきました。「こ、こういう動き見たかった」と呟いたのを覚えています。

八月二十七日以降は40分前後、対岸の広い範囲を探しましたが見つけることは出来ませんでした。結局、一ヶ月以上滞在したと言うことは、「来年も渡って来ますよ」というメッセージなのでしょうか?

支部報「カッコウ」2019年1,2月号より