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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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エゾモモンガと日没

厚別区在住 近藤直人

モモンガ

野鳥観察をしていたら野鳥以外にも時々思いがけない出会いというものがあります。

とある3月の昼過ぎ、キツツキを撮りにいつものように近所の森に入りました。雪山を歩いていると目線の少し上の方から、カサカサっと何かが木を登る音が聞こえました。コゲラかな?と目をやると見慣れない生き物がいました。それはなんとエゾモモンガ(以後、モモンガ)でした。警戒したのかモモンガは木のウロに入りこちらを見つめていました。どうやらモモンガがいた木は巣のようです。お目々がクリクリしたそのかわいらしい姿に僕は一目惚れし、この出会いをきっかけにモモンガの観察を始めてみようと思いました。

数日後、初めてモモンガを見たあの巣で出てくるのを待つことにしました。しかしよく巣を見ると生活感が感じられず、結局日没後50分ぐらいまで粘ってみてもモモンガは出てきませんでした。

モモンガが活動を始める時間は日没後30分だということなので、この巣にはモモンガがいないと割り切って諦めることにしました。そこで新たに巣を探してみることにしました。木の下に糞があるか、その木に小さなウロやキツツキが開けた穴があるのか。キツツキの多いこの森には穴の空いた木が多く、その中でモモンガの生活感が出ている木を5箇所見つけることができました。同じ個体が使っているのか巣は数十メートルほどの感覚でありました。最も木の下に糞がたまっている巣に決め、後はモモンガから見つからない場所で待つだけです。

3月31日(日没.17:59)
日没前の17:30から待つことにしました。日没を迎え16分後の18:15、モモンガが巣から顔を出しました。予想外の早い時間にビックリしました。まだ、空は少し明るさが残っていたので観察がしやすかったです。暫く顔を出したり引っ込めたりし、巣から這い出し木を登り、滑空し森に姿を消しました。

今回予想外の時間に出てきたことに疑問を持ちました。もしかしたら今回がただ早かっただけかもしれません。そこで、日没から何分後にモモンガは活動を始めるのかを巣に通い調べることにしました。

そして数ヶ月後。少しづつ観察を続けた結果、日没後30分ではなく、だいたい14分前後を中心に巣から出てくることがわかりました。

まだ1個体しか調べていませんが、別個体での確認や別の時期はどうなのかなど、今後も少しづつ日没と活動時間の関係性を明らかにして行きたいです。

支部報「カッコウ」2015年12月号より