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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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「ウトナイ湖ファンクラブ」をご存じですか?

日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリレンジャー  中村 聡

「ファンクラブ」と言っても、アイドルグループのそれとは異なり、記念のノベルティがもらえるとか、特別なサービスがあるとか、そのような特典はありません。こちらのファンクラブは、貴重で豊かな勇払原野の野鳥や自然へ思いを寄せる皆さんに、ここで保全活動にあたっている「ウトナイ湖サンクチュアリ」を応援いただく賛助会です。

札幌市中心部から南南東へ約50km。車でも、電車とバスを乗り継いでも約1時間という距離にウトナイ湖はあります。ここでこれまでに確認された野鳥は約270種。札幌支部の探鳥会も定期的に開催されており、バードウォッチャーの聖地として、会員の皆さんには良く知られたところです。開発の進む石狩低地帯にあり、苫小牧市街地に隣接した場所に、このような自然が今も残ることは、奇跡的とも言えるのではないでしょうか。

日本野鳥の会は1970年代後半、欧米の野鳥保護区(英国のリザーブなど)をモデルに、自然保護や環境教育の拠点となる「サンクチュアリ」を日本につくろうという運動を開始し、1981年、第1号の「ウトナイ湖サンクチュアリ」を苫小牧市に創設しました。この地が最初に選ばれたのは、ガン・カモ類やハクチョウ類、湿地や草原で繁殖する小鳥などの重要な生息地、まさに「聖域」であることが理由でした。その目的は、野生生物の生息環境の保護管理、人と自然とがふれあう場の確保にあり、今日に至るまで自然保護と環境教育を活動の柱とした運営を行なっています。

中心施設の「ネイチャーセンター」は、会員の皆さんをはじめ、全国から寄せられた約1億円の募金で開設されました。以来、多くのご支援やボランティアの協力も得ながら活動を進め、これまでにウトナイ湖のラムサール条約湿地登録(1991年)や千歳川放水路計画の中止(1999年)などの成果を収めています。近年は、周辺に広がる勇払原野を守る活動に取り組んでおり、アカモズやチュウヒといった絶滅のおそれのある鳥類の生息状況を調査し、その結果を元に広く保全を訴えているところです。苫小牧東部開発地域内にある希少鳥類の生息地が遊水地の区域に含まれるという昨秋の決定は、大きな活動成果となりました。(「野鳥」誌2015年4月号もご参照ください)

日本野鳥の会の直営施設として、保全活動を自立して行なっていくためには、運営資金の安定化が課題です。「ウトナイ湖ファンクラブ」には現在、約80名の会員がいらっしゃいますが、1年で退会される方もおり、なかなか輪が広がりません。
そこで皆さん!奇跡的に残る勇払原野の自然を将来にわたり守っていくため、会員になってご支援いただけませんか。個人の方は、1年1口1万円の会費です。入会時には会員証を発行し、ネイチャーセンター内にネームプレートを掲げます。また、通信紙「ウトナイだより」を年4回お届けして自然の動きや活動についてご報告するほか、「ファンクラブの集い」を開催し、レンジャーとの、および会員相互の交流を深めています。

第2回「ファンクラブの集い」で弁天沼へ

第2回「ファンクラブの集い」で弁天沼へ

集いには、遠く京都や大阪からの参加もあり、和やかな夕食会を催したり、活動の最前線にご案内したりするなどして、ご支援いただいた成果を直接お伝えします。ネイチャーセンターには入会パンフレットをご用意していますので、ぜひ、お問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。


お問い合わせ先:ウトナイ湖サンクチュアリ/ネイチャーセンター
  • メール: utonai@wbsj.org
  • 電話:0144-58-2505
    (月・火曜日以外の9:00~17:00 調査等で不在の場合あり)
支部報「カッコウ」2015年7月号より