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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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身近なフィールドとしての河畔林

知床在住 新庄康平

私は2年前までは富山県に住んでいましたが、今は北海道の斜里町に在住しています。私は小さいころから自然が好きで、遊びのほとんどは野外でした。特に生き物に興味があり、近所の公園や空き地でバッタやコオロギ、カマキリを探したり、田んぼや用水路でカエルやヘビ、ザリガニ、魚などを追いかけて遊んでいました。
やがて遊びの行動範囲が広がると、自宅から自転車で10分ほどのところにある川が、主な遊び場となった。その川が、つい2年ほど前まで、私のフィールドとなりました。

私が通った河畔林は、林と言うには木が薄く、川沿いにわずかに木が並んでいる程度で、林の幅は平均して20mほどあったかどうかの狭い場所です。橋の上から見ても土手から見ても、普通は下りて行ってみようと思わないような外見でした。しかし、当時の私にとっては1年中楽しめる秘密の場所でした。

この河畔林の四季の見どころを順に紹介していきますと、夏はまず、多くの生き物に出会います。河畔林の柳の木では樹液が出ており、カナブンやカブトムシ、クワガタが多く集まってきます。また、湿度の高い河畔林の林床では、カタツムリの仲間が意外に多く、少なくとも9種類の生息を確認しました。けもの道のようになっている林内ではタヌキの溜糞や、何者かに襲われたキジの羽根が散らばっていたりもしました。夏はオオヨシキリのBGMを常に耳にしながらこのような生き物たちを観察できます。

秋、鳥の渡りの季節になると、通り過ぎるだけの鳥も一時的に立ち寄ったり、冬鳥がやってきます。河畔林には野生化した柿の木が生えており、ヒヨドリやツグミが主に食べに来ていました。

冬はノスリ、ケアシノスリ、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、ハイタカ、オオタカ、ハヤブサ、トラフズクなどの猛禽類が河畔林を越冬地として利用していました。観察していて面白かったのが、道路脇のとある電柱がオオタカの解体場になっており、そばを通るたびに色々な鳥の羽根を拾うので、オオタカが何を食べているかが文字通り手に取るように分かることでした。一番多かったのがツグミで、他にはキジバト、カワラヒワ、タシギ、シロハラ、ハクセキレイなどでした。

また、冬の河畔林内を歩くと野鳥観察以外にも楽しみがあります。河畔林のあちらこちらの木からエノキタケが生えてくるのと、運が良ければ大量のヒラタケが採れることです。

春にも意外と高頻度にヒラタケが採れ、もちろん春ならではのフキノトウ、コゴミ、ヤマシャク、ヤブカンゾウなど山菜類も楽しむことができました。

私が通っていた狭い河畔林でもこんなに一年中楽しむことができたので、皆さんも身近に河畔林があるならば、ちょっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか?きっと面白い発見があると思いますので、身近なフィールドとしてお勧めです。

支部報「カッコウ」2014年12月号より