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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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マガンという原風景

宮島沼水鳥・湿地センター インタープリター 岡野香子

近年では「マガンといえば宮島沼」が代名詞となっており、季節になると全国からたくさんの人が訪れるが、マガンが宮島沼で休憩を取り始めたのは1977年である。1971年に天然記念物に指定されたのを契機に徐々に数を増やし、宮島沼への飛来数が万羽を越えたのが1984年。現在のように6万羽を超えるようになったのが2000年。ほんの最近のことなのだ。

宮島沼で活動する子供たち、自然戦隊マガレンジャーにとって「マガン」は季節になると当たり前に飛来する”普通種”だ。子供同士の湿地交流会で、彼らが、宮島沼の自慢は観光客がたくさんやってくることです、と発表した時は本当に驚いたものだ。

そんな彼らの最近の関心事は「宮島沼のマガンをたくさんの人に見せたい」「宮島沼の水質をなんとかしたい」の2点だ。彼らの心にそんな自覚が生まれ始めたのは、他の湿地で体験活動をしたり、子供同士で交流したりした経験のおかげだ。いつも見ている”マガンの大群”の写真を見せると必ずあがる、小さくない歓声。「こんなに小さくて汚い沼なのに。僕達の宮島沼は人を感動させる特別な場所なんだ」自分たちの普通が、普通でないと気づいた瞬間。他を知ることで見えてきた自分達のフィールドの魅力である。水質もしかり。夏になると、臭くて緑色(アオコの大発生)の宮島沼。クッチャロ湖の水は澄んでいて、魚も水生昆虫もたくさん採れた!いやいや、宮島沼でも魚や水生昆虫はいるし、その活動も行っているのだが、臭い汚いの体感は強烈らしい。僕達にできる活動は何?来訪者に水質の悪さを知ってもらうための調査をしよう、ふゆみずたんぼin宮島沼のことを宣伝しよう、水質浄化植物ヨシを使った活動(ヨシ紙作りなど)をしよう。大人たちも試行錯誤している現状、これが子供たちに答えられた精一杯だった。よし、それならと、ヨシから絵葉書を手作りし、マガレンジャーグッヅとして販売しようと盛り上がっている。

自然戦隊マガレンジャー

我々スタッフとマガレンジャーは、相棒だ。マガレンジャーにとって、マガンは原風景となりつつある。彼らが大人になった時、我々が思いもしなかった秘策を生み出し、マガン保全への新たな道を築いてくれる。マガレンジャー達の笑顔を見ていると、そんな野望を抱かずにはいられない。

宮島沼HP:http://www.city.bibai.hokkaido.jp/miyajimanuma/
宮島沼の会「宮島沼日記」:http://blog.goo.ne.jp/miyajimanuma/
宮島沼プロジェクトチーム:http://miyajimanumaproject.blog.fc2.com/
マガレンジャー・活動日記:http://magaranger.blog55.fc2.com/

支部報「カッコウ」2013年11月号より