*

Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

Home

警戒心の強かったアオサギが札幌の中心街へ来た

日本野鳥の会札幌支部 監事 足立英治

写真集・千歳川のカワセミを出版された写真家の嶋田忠さんが、かってそのトークショーで、警戒心が強く撮影しづらい鳥の筆頭にあげていたのがアオサギでした。野鳥に興味を覚えていた私もそんなアオサギを見るのは石狩川での望遠でした。人の姿を見ると数百メートルの距離からでも飛び去って行くアオサギの写真を撮りたくて背丈を超える葦原に身を潜めながら、見当をつけ方向へ延々と歩いた思い出があります。そっと顔を出した時の数十メートル先に羽を休める彼らの集団が居るのを見た感動が忘れられません。

1981年4月14日の私のフィールドノートに、豊平川雁来大橋上空を飛ぶ四羽のアオサギを確認した記述があって懐かしさを覚えます。その数年後には早朝の豊平川に時々目撃されるようになりました。アオサギは上空から札幌市、豊平川やその周辺に魚が泳ぐ多くの河川を確認し、そこに住む人々の行動をウオッチングしていたと思います。彼らの中で新しい餌場を捜そうとしたり、あるいは冒険心というか物好きな個体が街中のそれに気が付いたという事ではないでしょうか。現在では市中心部の豊平川や中島公園の菖蒲池や鴨々川、北海道庁前庭の池、札幌駅近くの創成川にも姿を見ることが多くなっています。中島公園に関して言えば、菖蒲池には豊平川からの取水で紛れ込むウグイなどが豊富で、彼らにとっては魅力的なポイントかも知れません。

よくカラスの知能の良さがいわれますが、アオサギもなかなかのもののようです。大阪の釣り堀や河川で釣りを楽しむ人々に取り入って、釣りあげられる魚を貰っている光景が知られています。旅館のゴミ出しの時間にやってきて旅館の人と仲良しになっている動画を見たこともあります。そういう行動の中にも人々との程よい距離感を保っている彼らの賢さを見ることがあります。余談ですがアオサギに釣られてかダイサギと思われるサギも数年前から冬季の中島公園に姿を現すようになっています。

アオサギの行動の面白さでは数年前の桜のころに、カメラを持って近づく人を恐れずにポーズをとる様な光景が滑稽でした(写真1)。公園に来る人たちの自分に及ぶ危険の度合いを判断しているのだと思います(写真2)。野生の逞しさと姿の美しさが公園で憩う人々との風景に交じり合う面白い光景も楽しめるものでした。こういう交流はこれからも続くと思われます。

写真1

写真2

支部報「カッコウ」2020年1・2月号より