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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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鳥たちが命を謳歌する平和な世界に

国連大学認定 RCE北海道道央圏協議会 事務局長 有坂美紀

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)という言葉を聞いたことがありますか。“誰ひとり取り残されない”世界を目指し、自然も人間も持続可能な状態へと「変革する」ために、国連総会で採択された2030年までの世界共通目標です。

私は生きものが大好きです。酪農学園大学で酪農を学び、島根大学でヤドカリの研究をし、北海道大学で藻場の生態系を解き明かすため海に潜っていました。自然に生きる彼らの姿を見ると心が震えます。土の中に蠢くもの、木漏れ日をくれる木々、水の中をスイスイ泳ぐもの、空を飛ぶもの。生きているものに出会うと、植物であろうと動物であろうと菌類であろうと、その存在を五感で感じることができるものすべて(肉眼では確認が難しいモネラ界と原生生物界の生きものを感じるのは難しいですが…)、ワクワクせずにはいられません。

多様な生きものが命を謳歌している姿を見続けたいので今の仕事をしています。一見関係が無いように思われることが多いです。私が普段相手にしているのは人間で、利害関係を調整するような仕事だからです。私は10歳の時、自作の動物図鑑を作りました。「私の大好きな生きものが絶滅の危機に瀕しているのは人間活動が原因。何とかしたい」という趣旨の内容を図鑑に書いています。

SDGsは、地球と人間の平和と繁栄をパートナーシップで実現するための目標です。皆さんの好きな鳥たちがその命を謳歌するためには、どんな存在も尊重される平和な世界が必要です。一番の環境破壊は「戦争」とも言われます。多様な鳥たちが存在するために、どんな社会環境が必要なのでしょうか。鳥たちの素晴らしさを伝えると同時に、平和な世界に必要なことにも耳を傾けてみませんか。

支部報「カッコウ」2018年11月号より