渡りの中継地、千葉県盤州干潟
2017年11月5日の札幌支部西岡公園探鳥会に参加させていただいたご縁で投稿させていただいています。
盤州干潟を御存知でしょうか?千葉県袖ケ浦市から木更津市にまたがる東京湾に残る自然干潟です。東京湾に干潟があるの?と多くの人が疑問を持たれます。確かに東京湾の沿岸のほとんどが埋め立てられ、今や昔の遠浅の海岸を見られる場所は、盤州干潟以外では、船橋市三番瀬、葛西臨海公園等に限られています。その中でも、長さ7.5km、沖合2km、約1500ヘクタールの砂質干潟である盤州干潟は、東京湾最大の自然干潟です。川崎と木更津を結ぶアクアラインの両側に広がり、大潮の干潮時は、対岸の横浜まで歩けるのではないかというような広大な干潟です。横浜の後方には、どっしりと構えた富士山を望むことができます。
盤州干潟の特徴は、前浜と呼ばれる砂浜部分だけでなく、後浜と呼ばれる広大な葦原の塩性湿地が広がっていることです。前浜では、アサリなど2枚貝、カニ、ゴカイ、スナムグリ、ハゼの仲間の幼魚など海浜生物が、後浜では、カニはもちろん、ハママツナ、ハマヒルガオ、シオクグなどの多種の海浜植物が生育しています。
この干潟を、数多くの野鳥が利用します。特に、春秋にはシギ・チドリを中心に、渡り途中の休息に寄ってくれます。越冬するシギ・チも多く、ハマシギやミユビシギの群れは圧巻です。後浜では、季節によりオオジュリン、セッカ、チュウヒ、ノスリ、オオタカ、ハヤブサ、ミサゴ等が舞います。後浜の中には、浸透実験池と呼ばれるほぼ円形のドーナツ形の淡水湖があり、カモの越冬地になっています。
私は、この干潟で約20年間観察してきましたが、野鳥の種類や数が変わってきていると感じます。一昨年まで、浸透実験池の内側陸地に数百羽のカワウがコロニーを形成していましたが、昨年から、全くいなくなりました。10年程前までは、8月になると、干潟を覆わんばかりのコアジサシが集結し、渡りの準備をする光景が見られたのですが、今は一羽も見られません。シギ・チも減っており、以前の賑わいがありません。干潟の環境の変化もあるのでしょうが原因は特定されていません。それにしても多様な生物を育む広大な貴重な干潟です。これからも保全に協力していきたいと考えています。
偶数月の第一日曜日に定例の探鳥会を開催しています。東京方面においでの節は、ぜひご参加ください。
参考:盤州干潟を守る会 http://www2.tbb.t-com.ne.jp/haruet50/index.html