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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

大空のフライウェイ

大館和広

 7月29日朝、いつものようにコムケ湖に行って驚きました。なんだ?この人と車は?なんの騒ぎだあ?。目の前の光景が信じられませんでした。大砲のような望遠レンズが並んでいる、此処は音羽橋かあ?。そう言えば昨日までの留守中に何処からかは知らないが電話が何本も来ていたらしい。私はケータイを持ちませんが、この時ほど持っていなくてよかったと思ったことはありませんでした。

 某動物園から逃飛したフラミンゴがコムケ湖を一躍有名にしたので、以後のコムケ湖はこれまで見たこともないような人で溢れました。マスコミの影響の大きさに改めて恐れ入ったが、騒ぎすぎだよなあ。私の中ではフラミンゴは只の篭脱けの鳥で、ドバトと同じレベルの鳥です。なので写真はありません、ごめんなさい。

 けどしかし、傍観する訳にはいかない事情がありました。8月末から私のシギチドリの標識調査が始まるのでした。干潟にかすみ網を張って鳥を捕まえるのですが、その場所はまさにフラミンゴが日中居着いている場所なのでした。まあ調査は何のトラブルもなく終了しましたが。

 気にしていなかったとはいえ、一応コムケ湖に来た鳥なので少しは見てました。動物園の見立てではプランクトンとかヨコエビとかスジエビを食べているとのことでしたが、私の感じは違っていました。見ていると干潟の泥をすくって食べている感じでした。オジロワシが来てアオサギと一緒に逃げていったスキに干潟に行きましたが分かりません。よーく見ると微かに泥をすくい採った跡がありました。フラミンゴは泥を2,3cmすくいとって食べているようでした。泥中にはユスリカの幼虫がいるらしいです。ひとつ発見した気分でした。

 小樽からコムケ湖に来たのを誰もが偶然と思っているでしょうが、私は必然だったと思っています。フラミンゴはフライウェイを飛んで来ただけです。空に飛び上がると空の道が見えた筈です。そこを来ただけです。何故ならこの道は使われている実績があるのです。私がコムケ湖で標識放鳥したトウネン、ハマシギ、ヘラシギが小樽市新川河口で観察されているのです。コムケ湖を飛び立ち、渚滑川上流を遡り、コルを越え石狩川を下り海岸へ向かうのです。

 あ、そろそろ与えられた字数に届きますのでこの辺でやめましょう。続きはいつか機会があればお話出来るかと思います。

 この原稿が皆さまの目に触れる頃、フラミンゴはどうなっているでしょう?。私はアオサギとは一緒に南下せずに一羽でコムケ湖に残ると思っています。白く凍ったコムケ湖にたたずむフラミンゴ、そうなったら私も写真でも撮りましょうか?。

支部報「カッコウ」2012年12月号より