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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

Birds of Hokkaido 野の鳥の四季 熊谷勝

野の鳥の四季 Birds of Hokkaido
熊谷勝
青菁社
売り上げランキング: 176,375

熊谷さんといえば記憶はハヤブサにつながる方も多いのではないか。それで昨年の日本野鳥の会のカレンダーの10月、メジロの写真を見て驚かれた人もいたかもしれない。私もその一人だ。ともすれば平凡になりがちな二羽の小さな野鳥の姿、しかしそこにはずっと鳥を見つめてきた作者が持つ慈しみがあふれていた。

本書の頁を繰る。キビタキをとりかこむホオノキの透明な緑、イソヒヨドリがとまるイヌエンジュの銀色の新芽は、鳥たちもきっと待っていたにちがいない北海道の初夏なのである。後書きに替えた「野鳥美を求めて」にはこう記している「私が野鳥を撮影する上で、こだわっていることがある。それは鳥のいる背景である。私は野鳥の美しさを表現しようとするならば、(略)その鳥が生息する自然環境もその鳥以上に大切に表現しなくてはならないと考える」まことに明快である。

そしてアマモだろうか、水中で揺れる海の上を飛ぶアオサギの姿、アオバトが止まる岩礁。秋の渡りだろう、ヒヨドリの群が低く海上を飛びゆく姿。なるほど見事に「鳥とその背景」が見る者をとらえる。そして「この本を通じて北国の四季の移ろいの中で、懸命に生きる野の鳥たちの美しさ『野鳥美』を感じとってもらえれば幸いにおもいます」とある。いやほんとうに熊谷さんの野鳥美を堪能させていただきました。もちろんハヤブサをはじめハチクマ、ハイタカ、オオタカ、ノスリなどの猛禽類の迫力ある写真もおさめられています。

山田三夫

なお熊谷勝さんの写真展が以下の予定で開催されます。ぜひご覧になってください
写真展ポスター

熊谷勝 写真展

野鳥美を求めてⅡ

  • 2015年5月4日(月)〜5月10日(日)
  • 2AM 9:30〜PM6:00(初日はPM1:00より、最終日はPM4:00まで)
  • 2白鳥大橋記念館・道の駅「みたら」1階 展示室
  • 2室蘭市祝津町4-16-15 電話:0143-26-2030
  • 2お問合わせ 熊谷写真事務所 電話:0143-24-3423

トコロジスト

自然観察からはじまる「場所の専門家」

トコロジストすっかりお知らせが遅くなってしまいましたが、以前リレーエッセイ(北海道のトコロジストたち)とレビューコーナー(トコロジストになろう!)でご紹介しておりました、日本野鳥の会ブックレットが新刊書籍として発売されております。

野鳥の会通信販売のほか、全国の書店でも普通の本と同じように売られています。
野鳥の会バードショップオンラインでは、販売価格1,296円(税込)となっております。

さきほどamazonを覗いてみたら、中古品販売価格が.4,500円以上で売られてました。ありゃりゃ。
書店で見つからなければ、バードショップオンラインでお買い求めください。

リレーエッセイ → 北海道のトコロジストたち

レビューコーナー → トコロジストになろう!

バードショップオンライン
 → トコロジスト~自然観察からはじまる「場所の専門家」

鳥獣採集家 折居彪二郎採集日誌

2013 発行:折居彪二郎研究会 制作:一耕社

折居豹二郎

大部の書籍である。B5判600頁ハードカバー箱入。当然高価(本体価格6400円)である。しかし内容がぎっしりと詰まっている。出版元の一耕社のホームページに折居とはどのような人物なのか、また本書の出版の経緯をわかりやすく紹介している。長文となりますが以下に引用させていただきます。


《折居彪二郎(1883.7.15~1970.4.27)は、明治から大正、昭和にかけて、国内外の研究者の依頼を受けて鳥獣を採集し、日本や世界の鳥獣研 究に寄与した人です。その活動は、日本国内はもとより、千島、樺太、韓国、中国、満州、台湾、南洋諸島に及び、多くの新種を発見したことから学名に「オリイ」の名がついている鳥獣も数多くあります。

卓越した狩猟と剥製製作の腕を持ち、彼が作った鳥獣標本は大英博物館、山階鳥類研究所などに数多く収められ、 その偉業から「東洋のオリイ」と呼ばれていました。自宅は北海道苫小牧市のウトナイ湖(ラムサール条約湿地)の近く、美々川の畔にありました。
彪二郎は、鳥獣採集活動に当たって多くの「採集日誌」を残しています。その内容は、鳥学・哺乳類学の研究にとって貴重であるばかりでなく、非常に興味深い探検記でもあります。しかし、残念ながらそれらの採集日誌は一般には見ることができず、また、コピーなどで見たとしても、英文と片仮名、平仮名、漢文まじり、さらに非常な癖字なので、読むことは容易ではありません。このため、研究会の皆さんが数年をかけて「現代語訳」をし、読みやすい内容にしたのです。

今回の出版は、この現代語訳された採集日誌を、鳥学を志す人、大正、昭和初期のアジアの自然に興味を持つ人、折居彪二郎についてより詳しく知りたい人、また、野鳥愛好家の皆さんに読んでいただこうとするものです》

鳥学・哺乳類学を支えた男 折居彪二郎 ホームページより

巻末の年譜を見て驚いた。「1941(昭和16)年10月 日本野鳥の会札幌支部例会で講演」とあるのだ。これは戦前から会を作っていた土屋文男前支部長に詳しくお話を聞かなくてはいけないなと思った。

カッコウ2014年11月号ブックスレビューより(山田三夫)

一耕社出版のウェブサイトからご購入できます
鳥学・哺乳類学を支えた男
折居彪二郎

トコロジストになろう!

トコロジストになろう!

著者:箱田敦只(日本野鳥の会普及室)
発行:公益財団法人日本野鳥の会
変形B6判 96ページ

 本書は日本野鳥の会ブックレット(2)および(3)の二分冊で、財団職員の箱田敦只(あつし)さんが書いている。


 トコロジストという言葉を聞いたことがあるだろうか。(2)体験編に意味と概念が記されている。トコロジストとは「場所」をさすトコロに「~をする人」のイスト(ist)をつけた造語で、故浜口哲一さん(平塚博物館元館長)が提唱した。

 トコロジストは、鳥、野草、虫など特定の分野だけでなく、その地域の歴史や風土など広い分野に知識、興味がある人のことをいう。これまで専門家という呼び名は、一般的には鳥類学とか植物学、昆虫学、歴史学などある特定の学問分野について詳しい人のことを指していた。浜口さんは「ところが自分のフィールドが好きで、何十年もの間同じ場所に通い続けている人の中には、一つの分野についてはそれ程でなくても、その場所のことについては誰よりも詳しく知っているという人がたくさんいる。場所の専門家たちは、いわゆる学問的専門家とは違った視点で地域の自然を大切におもい、守ることに尽力している。市民ならではの視点を持った人たちにも、社会的な位置づけを与えたい」とトコロジストの大切さを訴えたのだった。

 このような「場所」に視点を置いた活動は、その場所の近くにいる市民にしかできない。また「ところ」の専門家たちは、たとえば「ところ」の行政に対してその地域の将来プランを提案することもできるのではないか―というのが私の感想である。

 日本野鳥の会は、ちょうど八十年前に生まれた。創設者の中西悟堂さんがそれまでとは違った鳥と人間の関わりを模索する中で、新しく「野鳥」や「探鳥」という言葉を造った。同じようにこの「トコロジスト」という言葉も、今までになかった考え方・行動の方法を表現するためにどうしても必要な言葉なのだろうとおもうのだ。

(山田三夫)
日本野鳥の会ブックレット「トコロジストになろう!」は体験編と実技編の2冊セット1,000円で頒布されておりましたが、現在頒布終了しております。
でも、どうしても読んでみたいという方のために、現在1冊にまとめて書籍化作業進行中です。
2014年10月中くらいには出版されるそうなので、もう少しだけお待ちください。

 

BAT TRIP ぼくはコウモリ

著者の中島は2011年3月に同名の写真展を開いた。コウモリのほとんど知られていない生態写真を見て、驚いてのち感嘆したものだ。2010年に第三回田淵行男賞をこの内の20点の組写真で受賞している。

BAT TRIP―ぼくはコウモリ
BAT TRIP―ぼくはコウモリ

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中島 宏章
北海道新聞社
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野生のコウモリを見た人はごく少ないのではないか。本書の写真にはいくつもの “えー! ” の声が出る生態が捉えられている。

そのひとつは『枯れ葉の中で眠るコウモリ』

「普通、こんなところで寝るか?」という場所で平気で寝るのがコテングコウモリなのである。(略) そんな彼らの行動パターンを読めるようになるのには相当な時聞が必要だった。結局僕は、枯れ葉にひそむコテングコウモリを自分で見つけられるようになるまで4年を費やした。

そして『雪の中に眠る奇跡』で書いているのは、今まで日本で十数例しか発見されていない「雪の中で丸くなって眠るコテングコウモリ」のことだ。著者はこれを探しはじめて3年目の春に見つける。「情けなくも目には涙がうかんでいた」しかしいっぽうで、このような突飛な行動をとるコテングコウモリに一種の滑稽味を感じ「涙を浮かべてニヤニヤしていた」そうだ。

巻末に著者が師と仰ぐ宮崎学との対談もおさめられている。このなかで中島は「このシーンではこういうことを言いたいと決めでかからないと撮れない。コウモリという被写体は、そうせざるをえない難しさがあります」と言っているが、こうした姿勢にこの人の作家性を感じるのであった。

カッコウ 2012年7月号より

北海道主要樹木図譜

  • 覆刻 北海道主要樹木図譜 宮部金吾・工藤祐舜著/須崎忠助画
    【昭和田年】北大図書刊行会 四六4倍判・図86葉・解説320頁
  • 普及版【昭和61年】B5判・187頁
北海道主要樹木図譜
北海道主要樹木図譜

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官部 金吾 工藤 祐舜
北海道大学出版会
売り上げランキング: 401077

現在購入できるのは、普及版だけのようです。
ちなみに『覆刻/北海道主要樹木図譜』は定価:56,700円。北海道大学出版会では、「品切・重版未定」となっています。

普及版の解説から引く。「大正2年(1913年)北海道庁は『北海道主要樹木図譜』の刊行を企画し、時の東北帝国大学農科大学(現・北海道大学)教授宮部金吾、同助教授工藤祐舜両博士にその作成を委嘱、作画を北海道庁技手須崎忠助に命じた」また「この図譜は大正9年から昭和6年までの12年間にわたって刊行された」
「いずれにせよ、人と時間と技術を惜しむことなく注ぎ込んで完成させることができた本書のような図譜は、もう二度と生まれることはないかもしれない」
「原著は昭和59年に原サイズのまま覆刻されて好評を得たが、愛蔵版としては見事であっても、実用的にはいささかの不便を免れなかった」それで普及版が出版されたのだというが、解説のリライト部分がかなり省略されている。ぐうぜん聞いた「シナノキ」の解説を較べてみる。

原著では「しなのき 用途。材ハ軽柔、帯黄白色ナリ。燐寸ノ軸木ニ賞用セラレ又安価ナル下駄材トス。荷作箱及樽ヲ作ルニ用ヰラル。アイヌ並ビニ山民ハ、ソノ繊維ヲ今日モ尚縄ノ製作ニ用フ。樹ハ庭園樹トシテ賞観スベク、又養蜂用トシテ価値あり」

これが普及版では「かつては樽材などに用いられた。繊維は強い」となり、まことにもって味気なし。

また原著にあるアイヌ名も削除されているのは残念だ。「実用的にはいささかの不便」とあるが、復刻版を体重計で測ったら確かに7.3キロもあるのだった。

カッコウ 2012年7月号より

新・山野の鳥

野外で鳥を観察するときの必需品です。国内の野山で見られる野鳥を識別しやすいイラストで紹介しています。
なんだろう?あの鳥、と思った時にいつでもポケットから取り出せるサイズと軽さがとっても便利。

「新・水辺の鳥」と一緒に揃えておけば、探鳥会へ出かけるときも完璧。

2013年6月、新・山野の鳥 改訂版がでました。

新・山野の鳥―野鳥観察ハンディ図鑑
日本野鳥の会
売り上げランキング: 63,132

野鳥の会札幌支部事務所や札幌支部主催の探鳥会でも販売していますので、お気軽におたずねください。

クマにあったらどうするか―アイヌ民族最後の狩人姉崎等

書名がなにかハウツーもののようだが、そうではない。話す柿崎等は、表紙にもあるように「アイヌ民族最後の狩人」である。

本書はヒグマに関することだけではなく、柿崎等の一代記にもなっている。少年期、青年期の話にも時代の背景がにじみ出(大正14年生まれ)、ひきこまれる。おもに千歳や蘭越の自然のなかで、狩猟者として生きた柿崎の生きかたは、おそらく誰にも真似ることはできないだろう。

「クマは私のお師匠さんです」とよく言うそうだが、クマへの接し方、クマをふくめた自然全体の見方がなんとも”自然体”なのである。そこにあるのは、まさにアイヌ民族の伝統や文化である─と、私は感じてしまう。

「子グマが母グマと穴籠りするのは三回、ようするに三年間は親と一緒。子グマはその三年間、親離れするまでに生きる術を親から全部教わります。(略)三歳になって初めてようやく山へ帰る力が出るんです」。「山へ帰る力」とはいい言葉だなー。

カッコウ 2012年7月号より
クマにあったらどうするか―アイヌ民族最後の狩人姉崎等
姉崎 等 片山 龍峯
木楽舎
売り上げランキング: 172341

新・水辺の鳥

水辺の鳥を観察するときの必需品です。国内で見られる水辺の鳥を識別しやすいイラストで紹介しています。
軽くて薄く携帯するのに最適のサイズ。

「新・水辺の鳥」と一緒に揃えておきましょう。鳥を見始めた初心者のための最初の一冊、いや二冊です。

こちらも2013年6月に新しくなりました。新・水辺の鳥 改訂版。

新・水辺の鳥―野鳥観察ハンディ図鑑
日本野鳥の会
売り上げランキング: 26,149

野鳥の会札幌支部事務所や札幌支部主催の探鳥会でも買えます。お気軽におたずねください。