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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

カワビタキの越冬初確認

日本の野鳥図鑑には載っていない野鳥がやって来ました!

1月に市民の方から北区の水辺で撮影したのですが「この鳥は!何でしょうか」と写真付きで問い合わせがありました。

カワビタキ-1
カワビタキ-2

写真は尾羽全体が鮮やかなオレンジ色で、体は鉛色に少し青を混ぜたような美しい野鳥でした。日本の野鳥ではないと判断した事務局はアジアの図鑑から探り当て、カワビタキの雄であると判明しました。インターネットで検索すると台湾、韓国まで出掛け、見に行くほど人気の野鳥である事も分かりました。
日本での確認は数年前に雌(尾の付け根が白い)が山口県で確認されています。

カワビタキ-3
カワビタキ-4

貴重な情報と写真を寄せて頂いた渡辺昌樹さんに感謝いたします。

ラナルドマグドナルド考

焼尻島 磯野 直

先日、標識調査員の有田さんから原稿の依頼があった、自分で書けばと言ったら、一度書いたのであんたに頼むと言い出す。簡単に言ってくれますが、私は旅館の主人で、野鳥には詳しくないのは承知のはずなのに、と思いながらも、どうせ暇なんでしょと言われそうなので、少し島の事を書くことにした。

焼尻島の南海岸にトーテムポールが建っている、これはラナルドマグドナルドというアメリカ人の上陸記念碑である。一八四八年六月二七日捕鯨船に乗って日本海に入った彼は、島の南海岸に上陸する。島を探索したが無人島と判断して(島の東側にはアイヌ人や日本人がすでに住んでいた。島にある厳島神社の鳥居に天保十五年と刻印がある)二日間滞在したのち、本来の目的地だった利尻島を目指す。そこで彼はボートをひっくり返して遭難者を装い助けてもらう。その後彼は松前藩を経由して長崎に送られそこで投獄生活を送るが、その間、役人に英語を教える。その役人がのちにペリーが来航した際に幕府の通訳を務めたとされている。焼尻の島民であればだれもが知っている事ですが、調べていくと、色々と疑問がわいてくる。その一つは彼がどこで日本の事を知り得たのか。アメリカに帰った後に彼が書きとめたものを調べていくとなかなか面白い。彼はイギリス人の父アーチボルトマグドナルドとインディアン、チヌーク族の族長コムコムリの末娘コーアルクソア(わたりがらすという意味)との間に生まれた。彼の父は当時ハドソン湾岸会社の重役であった。彼は成人したのち銀行に勤務していたが、世界放浪の旅にあこがれていた。そこで知ったのが日本人音吉の存在であったと思われる。音吉は一八三二年鳥羽から江戸に向かう途中、遭難し一四カ月間漂流したのちシアトルの北部フラッタリー岬に流れ着く、そこでインディアンに捕えられ、イギリス船に奴隷として売られた。その船の所有者がハドソン湾岸会社だった。イギリスの本社では音吉をなんとか日本に帰そうとするが幕府は許さなかった、その間色々と日本の事を話した事が父を通じてマグドナルドの耳にも入り彼の冒険心をあおったと思われる。一説には音吉が彼の家に居候をしていたともあるが定かではない。そこでマグドナルドは日本に渡る計画を立てハワイに渡り捕鯨船の船員となり希望通り日本を目指すことになった。そして焼尻島に上陸した。

英語の通訳に関しても調べていくと面白い事がわかる。当時幕府にはジョン万次郎がいたはずである。彼もまた土佐沖で漁の最中に遭難し鳥島で百四十三日間過ごしたのちアメリカの捕鯨船に助けられアメリカに渡った。彼は日本に戻るため琉球から上陸を図るが捕えられ薩摩藩で取り調べを受けるが英語が堪能な事から島津斉彬の目にとまり幕府の役人として召し抱えられた。その万次郎がいたにもかかわらずなぜペリーが来航した際に通訳をしなかったのか。諸説あるがひとつは、たかが漁師の分際のものに幕府の通訳をさせるのは沽券にかかわるという役人の思いがあった。もう一つには、彼の英語は漁師言葉でスラングが多く、しかも音を聞いて覚えたのでなかなか聞き取れないことから外国との条約締結には適さないとの判断があった。どちらもありそうな話である。興味のある方は、ぜひ一度焼尻島を訪れて、海を眺めながらマグドナルドと同じ思いに浸っていただければと思います。

さて、この記念碑ですが、春先に役場担当課から、傷みが激しいのでちょっと様子を見てきてほしいと依頼があり。早速見に行こうとしたら、女房がこの時期は何か珍しいものが来ているかもしれないので一緒に行くと言い出した。私もカメラを抱えて行ってみると、いたいた、ヤツガシラです。感激。これだから島暮らしはやめられない。

支部報「カッコウ」2014年3月号より

2014年3月の行事案内

3月2日(第一日曜日)西岡水源池定例探鳥会

  • 時間・・・9時~12時
  • 集合・・・西岡公園管理事務所前 9時集合
  • 交通・・・地下鉄「澄川駅」から中央バス「西岡環状線」乗車、「西岡水源池」下車
  • 参加費・・・会員無料、一般300円
  • 野鳥情報・・・クマゲラ、マヒワ、ベニヒワなど

去年は吹雪のために中止になっています。今年はどうかな?


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3月9日(第二日曜日)円山公園定例探鳥会

  • 時間・・・9時~12時
  • 集合・・・円山公園南大通側入口 9時集合
  • 交通・・・地下鉄「円山公園駅」から徒歩3分
  • 参加費・・・会員無料、一般300円
  • 野鳥情報・・・ツグミ、エナガ、ウソ

円山も去年は吹雪で中止です。春は、まだかな?


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3月21日(祝日)ウトナイ湖水鳥探鳥会

※ 弁当持参

  • 時間・・・9時30分〜14時
  • 集合・・・ウトナイ湖鳥獣保護センター駐車場 9時30分集合
  • 交通・・・新千歳空港バスターミナルから9時10分発「苫小牧行」へ乗車、「ウトナイ湖」下車
  • 参加費・・・会員無料、一般300円
  • 野鳥情報・・・ガン、カモ、ワシの仲間など

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3月23日(第四日曜日)手稲山口バッタ塚探鳥会

※ 現地トイレなし

  • 時間・・・9時~12時
  • 集合・・・手稲水再生プラザ駐車場 9時集合
  • 交通・・・JR手稲駅北口から【循 環手41】8時20分発乗車、「山口団地6号棟前」下車、徒歩7分
  • 参加費・・・会員無料、一般300円
  • 野鳥情報・・・ウミアイサ、ダイサギ、ノスリなど

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2月の庭にくる野鳥の調査

「鬼は〜そと!福は〜うち!鳥は〜にわ!」
ということで、2月も庭にくる野鳥の調査が始まります。
期間は2月1日(土)から2月7日(金)までの7日間。

札幌とその周辺にお住まいの皆さま、ご協力をお願いいたします。
初めて参加してみようかなという方は、「さっぽろ 庭にくる野鳥の調査」を見て下さいね。

昨年末の読売新聞、今年初めの朝日新聞に続き、今朝の北海道新聞(2014年1月31日朝刊31面(札幌圏))にも「庭にくる野鳥の調査」の記事が載りました。参加者増えるかな〜?

さっぽろ 庭にくる野鳥調査1月の中間報告

今回のさっぽろ 庭にくる野鳥の調査は1月、2月、3月と分かれていまして、集計方法もネット送信と郵送の二種類あります。
そういうわけで、中間報告といっても1月にネットで送っていただいた分だけの途中経過でありますが、概略をご報告いたします。

ネットを使って送っていただいた総数は95件程度。みなさん、ありがとうございました。
調査期間外の記録も数件混ざっていました。調査は月始めの1日から7日間ですので、お間違いなく。
まずは、観察された地域。

庭鳥調査観察地域

中央区、北区、南区が多いですね。続いて東区、豊平区、白石区と続きます。手稲区、西区は数が少なくて、厚別区、清田区はゼロです。残念。その他の地域は石狩からも数件。
小樽、江別、北広島市などの札幌近郊の地域も調査記録を募集していますので、ぜひともご参加ください。
また、ご協力いただいた人で野鳥の会に入っていない方は半数以上を占めています。会員以外の方でも野鳥に興味を持ってくれる人がたくさんいてうれしいです。

次は観察した場所で、さすがに家の庭が一番多いです。マンションはなかなか鳥を見づらいのか、データを送ってくれる人が少ないですね。たとえ0羽でもデータになりますから、送っていただけるとありがたいです。

庭鳥調査観察場所

最後に見られた鳥の総数をグラフにしました。
なんだかんだいっても今のところ、スズメが一番多かったようです。続いて、ヒヨドリ、ハシブトガラスと続いています。

庭鳥調査観察鳥数

次回調査は2月1日からです。今回の調査が将来、野鳥の生息状況資料として貴重なものとなるかもしれません。
引き続き、または初めての方も、調査にご協力よろしくお願いします。

2014年2月の行事案内

2月2日(第一日曜日)西岡水源池定例探鳥会

  • 時間・・・9時~12時
  • 集合・・・西岡公園管理事務所前 9時集合
  • 交通・・・地下鉄「澄川駅」から中央バス「西岡環状線」乗車、「西岡水源池」下車
  • 参加費・・・会員無料、一般300円
  • 野鳥情報・・・ツグミ、コゲラ、エナガなど

去年の探鳥会記録はこちら → 2013年2月3日 西岡水源池


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2月9日(第二日曜日)円山公園定例探鳥会

  • 時間・・・9時~12時
  • 集合・・・円山公園南大通側入口 9時集合
  • 交通・・・地下鉄「円山公園駅」から徒歩3分
  • 参加費・・・会員無料、一般300円
  • 野鳥情報・・・マヒワ、ウソ、カケスなど

去年の探鳥会記録はこちら → 2013年2月10日 円山公園


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リンク:「あなたは北海道の生物や生態系のこと、 どのくらいご存知ですか?」

140106hukurouzemi

札幌大学法学部の早矢仕有子先生のゼミで、北海道の「生物多様性」と、シマフクロウなどの「絶滅危惧種」についての意識調査を実施しています。
ウェブアンケートでの調査ですが、幅広くデータを集めるために野鳥の会札幌支部からもリンクいたします。

結果は、北海道の生物多様性保全に有効活用されます。アンケート期間は2014年3月末日までの予定です。ぜひご協力をお願いします。


あなたは北海道の生物や生態系のこと、 どのくらいご存知ですか?

http://hukurouzemi.web.fc2.com/

1月の調査は7日まで!

さっぽろ 庭にくる野鳥の調査」1月分の調査期間は7日までです。5日時点でウェブからの調査結果送信は50件ほど集まっております。みなさん、ありがとー。
郵送の場合は3月末までにまとめて送ってくださってかまいません。
パソコンからの送信は簡単ですので、一度お試しを。

2014年 新年のごあいさつ

日本野鳥の会札幌支部 支部長 山田三夫

 あけましておめでとうございます。会員のみなさまはどのような新年を迎えられたことでしょうか。先の冬は記録的な降雪と積雪であったことからも、本年の気象状況が気になるところです。

 12月号でお知らせしましたように、札幌支部ではこの冬「さっぽろ 庭にくる野鳥の調査」を実施します。この調査は「都市部の住宅地は、見られる鳥の種類が少ないうえに、普通種がほとんどで研究者やバードウオッチャーに注目されなかった結果、『普通の鳥』の動向は意外なほど記録されていない。札幌市や周辺に住む市民が、自宅の庭や近くで見られる鳥の種と数を記録する市民参画調査ができないだろうか」という早矢仕有子札幌大学教授の提唱がきっかけとなっています。
記憶に新しいところですが2005年から06年の冬期間にスズメが大量死したことがありました。スズメは繁殖期には縄張りをつくり営巣するため観察しやすいのですが、冬のあいだは大小の群れをつくり広い範囲で動いているためか、その生息状況はなかなか分かりにくいとも言われています。スズメばかりでなくヒヨドリやカラ類は住宅地にどれくらいいるのだろうか。今からわくわくするような調査結果になるのではと期待しているところです。
札幌支部の会員のみなさまは、ひとりでも多く参加していただけるようお願いいたします。またインターネットを通して広く市民によびかけておりますので友人・知人の方にもぜひお声をかけていただけたらありがたいことです。

 我が家の庭のナナカマドも今年はたわわにみのっており、さてどんな鳥がやってくるのか楽しみです。どうぞ今年もみなさまと鳥たちにとってよい1年でありますように。

2014年 元旦

遭遇!ハシボソミズナギドリの大群!

日本野鳥の会札幌支部 臼田正
渡り行くハシボソミズナギドリ

渡り行くハシボソミズナギドリ

 それは、平成25年5月3日、洋上での探鳥を目的に、苫小牧―八戸航路に乗船した時のことでした。フェリーが苫小牧を出航して間もなく、航海の無事を祈り、海鳥や海洋生物たちとの出会いを期待してビールで乾杯する恒例の儀式を同行のK師と行った直後、船の行く手に何万羽というハシボソミズナギドリの大群が出現したのです。およそ10年ぶりに、このような大群に遭遇し、「ウオーッ!」と興奮した我々は、躊躇せずただちに、この日二度目の儀式をおごそかに挙行したのでありました。

 今回は、この大群との出会いを詠んだ長歌一首と反歌(短歌)二首を紹介させていただきます。航行するフェリーに迫り来る、ハシボソミズナギドリ大群の圧倒的な迫力を感じていただければ幸いです。

はるかなる 水平線よ はるかなる 南十字星(サザンクロス)よ
嘴細き 水薙鳥は 大海を 渡り来たれり
たくましき 大胸筋は 幾千里 疲れを知らず
風を切り 波濤を越えて 大海を 渡り来たれり
ふるさとは タスマニアなる 南(みんなみ)の 水清き島
目指せるは アリューシャンなる 豊穣の海、北の涯
春浅き 苫小牧沖 風やさし 波なほやさし
残雪の 樽前山は たをやかに 横たはりたり
甲板に 我がたたずみて なつかしき なれを探せば
のぞきゐる 望遠鏡(スワロフスキ)に かなたなる 小さき影見ゆ
小さき影は はじめおぼろに その姿 かすかなりしも
見るほどに あまたとなりて たちまちに 迫り来たれり
乱れ飛ぶ その鳥影は くろぐろと 目にもさやかに
舞ひあがり 水面を滑り ひたぶるに 打ち羽ばたけり
振りおろす 細き羽先は しなやかに 波頭をかすめ
ひるがえす 長き翼は 陽をあびて しろがねに映ゆ
やがて鳥は 沸き立つほどに あふれ出で 海原をおほひ
幾万の 疾風となりて 北を目指し 渡り行きたり
その姿 いよよ麗し その生命 いよよいとほし
大海を 翔けるハシボソミズナギドリは

  ひとすぢに 弧を描きたり 波間翔ける
  水薙鳥の 初列風切

  息をのみて ただ眺めたり ほとばしる
  生のきらめき 熱きドラマを

支部報「カッコウ」2014年 1,2月号より