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Sapporo Chapter Wild Bird Society of Japan

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暮らしの中でのバードウォッチング

斎藤裕美子(会員)

鳥見歴は二十数年になります。探鳥会では初めて見る鳥に夢中になったものです。今では身近な鳥の営みにも見入って楽しんでいます。

キレンジャク

キレンジャク

我が家は北区。近くに新川と小さな牧場があるくらいの、平坦な住宅地です。小さな庭に面した歩道にはナナカマドの街路樹が一本。家事の合間にリビングの二階の窓から空模様を眺める毎日。そんな時に鳥の姿を目にします。春に向かいの家の梅の木にコムクドリの番い。秋にはエゾ二ワトコの実を食べに親子で現れます。夏の雨上がりの空にはアマツバメが飛び交うことも。雨が止み、虫が飛び始めたからでしょう。ある時はヒヨドリがクモの巣に向かってホバリング。私の苦手なクモを食べようとするのです。ありがたい。ツララから落ちる水滴をホバリングしながら飲む様子も見られます。冬にはナナカマドにツグミが来ているなあと双眼鏡で覗くとギンザンマシコ。実を啄んでは庭の松で休み、一時間ほど楽しめました。そして、降り続く雪の中ではムクドリの群れ。その中に見慣れぬ柄のムクドリがいます。ホシムクドリでした。ムクドリの群れの中で冬を越そうと頑張っているのでしょう。冬の終わりの餌の少ない頃には、レンジャクの群れ。電線に並び、庭のツゲの黒い実を食べに舞い降りました。ある夜、積雪が心配で屋上へ上がると、大きめで白っぽく、胴体にいきなり顔が付いたような鳥が向かって来、頭上を通過。コミミズクでしょうか。深夜の出会いにお互いに驚きました。牧場から新川へ餌探しに行くのでしょう。

そんな鳥見で一年中姿を見せてくれるスズメ。春先にペアができ巣材を運び、夏には幼鳥を連れて庭へ来ます。羽をブルブルさせ口を開け餌をせがみ、親の後を追う幼鳥たち。親は蛾を捕まえようとするが失敗することも。庭にはお碗型の浅い小さな穴が数個。砂浴びで出来上がった窪みです。穴が大きくなると使わなくなり、また別の場所で砂浴び。穴は増えていきます。砂場を取り合い争う様子も見られます。置物に雨水が溜まると飲み、水浴びもします。体についたダニ等を落とすためでしょうが、水浴びと砂浴びをどう使い分けているのか。そんな野鳥の暮らしを飽きずに観察しています。街中でも小さな林や水辺があれば野鳥は立ち寄ってくれます。環境保全には自然の楽しさを知ってもらうのがいいでしょう。それが初心者探鳥会ですね。

野鳥を身近に観察できる街でありますように。

支部報「カッコウ」2015年8,9月号より